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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンと令太の苦闘
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16 カメがかわいかった

 エシオニア学園の図書館は、東側に位置する男子部の校舎と、

西側を占める女子部の校舎の丁度中央にそびえる、

レンガ造りの三階建ての建物である。

読書が好きな紳士クンにとって、ここは憩いの場であるのだが、

男子部と女子部が厳しく分けられているエシオニア学園において、

唯一男子と女子が共同で使える施設という事もあり、

生徒たちの間では別名『出会いの館』とも呼ばれていた。

紳士クンもある意味ここで色んな出会いを経験しているのだが、

それはさて置き、図書館へやって来た紳士クンは受け付けに赴き、

借りていたミヒャエル・エンデの『モモ』を差し出すと、

ここで図書委員を務める迚摸(とても)(しず)()が、

 「はい、確かに」

 と言って受け取りながら、親しみを込めた声で紳士クンに尋ねた。

 「どうでしたか?この本は」

 それに対して紳士クンも、親しみを込めた笑みを浮かべてこう返す。

 「はい、とても面白かったです。

時間を奪った灰色の男達に立ち向かうモモの姿に手に汗握りました。

それと、割と昔に書かれた作品なのに、

まるで未来を見てきたかのような世界観の描写にも驚かされました。

あと、カメがかわいかったです」

 「そうですね。

私もこの作品のおかげで、カメさんが一層好きになりました」

 そう言って静香はほのかに笑みを浮かべ、紳士君もニッコリと笑みを返す。

紳士クンと初めて出会った頃の静香は、過去に辛い体験をしたせいで、

周囲に心を閉ざし、表情も乏しかったのだが、最近は紳士クンを始め、

撫子や尚といった友達もできたので、少しずつ表情も豊かになっていた。



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