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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第三話 紳士クンと令太の苦闘
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7 意外な来客

 と、令太が出入り口のすぐ前に立っていた一人の人物とぶつかり、その人物は

「ひゃっ」

という声を上げてニ、三歩後ろによろめく。

一方の令太もその場に立ち止まり、目の前の人物を見やった。

するとそこに立っていたのは、

緑がかった黒髪を後ろで左右に分けてみつあみにした、

物腰の大人しそうな女子生徒だった。

その彼女は脅えた子ウサギのように身を縮こませ、

両手を胸の前で組み合わせて小刻みに震えている。

その様子に令太は瞬時に毒気を抜かれ、

 「わ、悪い」

 と声をかけると、彼女も目を泳がせながらも、

 「わ、私の方こそ、すみません・・・・・・」

 と、消え入るような声を漏らした。

彼女はこのクラスの生徒ではない。

なら、このクラスの誰かに用事があって来たのか?

と、令太が考えていると、背後に居た紳士クンが彼女を見て

 「あ」

 と声を上げる。

そしてそれに気付いた彼女も

 「あっ」

 と声を上げ、脅えた表情から一転、花を咲かせたような笑顔を見せたが、

すぐに思いだした様にわざとらしく不機嫌な顔になり、プイッとソッポを向いた。

 「蓋垣の、知り合いか?」

 令太が尋ねると、紳士クンは気まずそうな笑みを浮かべながら頷いてこう返す。

 「彼女は一年女郎花(おみなえし)組の、(あな)田野(たの)水落(みら)()さん。僕の、友達だよ」

 そう、彼女は(あな)田野(たの)香子(かこ)の妹にして、

目を見た相手の未来を予知する事ができる不思議な力を持っている、

孔田野水落衣だった。

が、この力の事を他の人に漏らすと色々水落衣が困った事になるとの思いやりから、

紳士クンは令太にもその事を話すつもりはなかった。



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