6 こうなりゃ力技
そしてあっという間に四時間目も終わり、とうとう放課後になってしまった。
今日は土曜日なので授業は午前だけで終わり。
このまま紳士クンが帰ってしまうと、
明日遊びに誘うチャンスはなくなってしまう。
紳士クンと携帯のアドレスを交換していない令太には、
もう本当にこの瞬間しかチャンスは残されていないのであった。
そんな中紳士クンは、帰り支度を終えて笑美や華子とおしゃべりをしていたが、
もはやなりふり構っていられない令太は、さっさと教科書やノートを鞄に詰め、
ズカズカと紳士クンの傍に歩み寄り、叩きつけるような口調で紳士クンに声をかけた。
「蓋垣!ちょっと話があるからこっちに来い!」
「へ?ど、どうしたの令奈さん?」
目を丸くして問い返す紳士クンに構わず、令太は
「いいから!」と言って紳士クンの右腕を掴み、
強引に立たせて教室の出入り口へ無理矢理引っ張って行く。
「あ、あのっ、真子さんが古文の教科書を返しに来るはずだから、
もう少しだけ待ってくれない?」
「そんなの今度でいいだろ!とにかく今しかできない大事な話があるんだよ!」
いきなりの出来事に目を点にしている笑美と華子をその場に残し、
令太は紳士クンを連れて教室を出た。
と、その時。
ドンッ。




