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1 三度目の正直
そして三時間目の世界史の時間が矢の如く過ぎ去り、
三度目の休み時間が訪れた。
これまでの二度の休み時間で、
いずれも紳士クンに話を切り出す事ができなかった令太は、
三度目の正直とばかりに席を立った。
(おそらく蓋垣は世界史の資料を戻す為にまた資料室へ向かうはず。
話を切り出すのはここしかねぇ!)
すると令太の考えた通り、紳士クンはサッと席を立ち、
黒板にかけられたタペストリーと、
教壇に置かれた数冊の資料を出際よく片づけ、
それを小脇と両手に抱えて教室を出て行こうとする。
その紳士クンに向かって一直線に歩み寄り、
令太は大きく息を吸って紳士クンに声をかけようとした。
「な、なぁ、蓋垣、その資料、俺も半分・・・・・・」
と言いかけた、その時だった。




