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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンと令太の生い立ち
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25 令の支配力

すると令は特に気を悪くした様子も無く、右手をさすりながら令太に声をかける。

 「これからがいいところだったのに」

 「何がいいところだ!所構わず蓋垣に変な事をするんじゃねぇ!」

 怒りに満ちた声を上げる令太に対し、

しかし令は一層妖(あや)しくその瞳を光らせながらこう返す。

 「中学の頃まではあんなに従順で可憐な女の子だったのに、

この学園に来てからすっかり男らしい事を言うようになったのね。

一体誰の影響かしら?」

 「だっ、誰の影響でも、ねぇよ・・・・・・」

 令太は力の限り声を振り絞ってそう言ったつもりだが、

その言葉尻が消え入るようにすぼんでしまい、それを見逃さなかった令は、

 「ふぅ~ん、そうなのね」

 と呟き、令太の顔を覗き込み、そのまま凝視(ぎょうし)する。

それは時間にして三十秒あるかないかの時間だったが、令太にとっては、

将棋のタイトル戦における長考の末の一手の如く長く感じられた。

そしてそれを背後で見守っていた紳士クンは、

令の視線で令太が蒸発してしまうのではないかと本気で心配し、

改めて、令の支配者としての存在感を、まざまざと思い知ったのであった。

そんな中令は

「ま、いいわ」

と言ってその妖艶な視線からようやく令太を解放し、

一転して母性に満ちた優しい笑みを浮かべ、紳士クンに声をかける。

 「乙子ちゃん、どうかこれからも、令奈ちゃんと仲良くしてあげてね。

もちろん私とも、ね」

 「は、はひぃっ」

 裏返った声で何とか返事をした紳士クンの脇を、

ブロンドの髪を優雅になびかせながらすり抜け、

女王然としたオーラを放ち、令は去って行った。



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