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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンと令太の生い立ち
59/158

17 今は何よりそれが問題

 そうなのだ。

令太は第四巻の第一話での紳士クンとの会話において、

『いつか休みの日に、僕の家で遊ばない?』

と、紳士クンに誘われた。

しかしそれに関するやりとりはそれっきりで、

それ以後その事について話したりはしておらず、そのままの状態になっている。

そして明日は日曜日で学園はお休み。

エシオニア学園は土曜日でも授業が四時限目まであるので、

今日のうちにその辺の事を紳士クンに確認したいと、

令太はモンモンと悩んでいたのだ。

『そんなモン、さっさと本人に聞いたらええやんか』

と、元気印の関西少女である樫増(かしまし)()()なら言いそうだが、

今まで積極的に友達づくりというものをした事がない令太にとって、

それは古今和歌集を全首暗記するよりも難しい事だった。

令太は日頃、

『気安く話しかけるんじゃねぇよ』オーラをバンバンに放ちまくっているので、

紳士クンや、その仲良しグループである樫増笑(かしましえ)()()入野(いれの)華子(はなこ)を除き、

何の用事も無く令太に話しかけてくる菫組の生徒は一人も居ない。

クラス委員長の()()好子(よしこ)のように、何とかお近づきになろうと頑張る生徒も居るが、

中身は男であり、

基本的に女嫌いである令太の心の壁をよじ登って乗り越える事は容易でなく、

皆一様に、その分厚い心の壁の前に立ちすくみ、

ただ遠くから、その美貌(びぼう)に見とれる事しかできないでいた。

令太自身も、ここで女の子の友達を沢山作って、

楽しい学園生活を送ろう等とはミジンコの涙程も思っていないので、

この孤独な状態はむしろ望む所ではあるのだが、

ただ一人紳士クンとだけは、同じ女装する者同士として、

もう少しお近づきになりたいとは思っていた。

心の中で少しばかり、

否、そこそこ、

否々、相当に。



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