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13 稲橋聖吾のお姉さんも通っていた学校
令太が留学したのは、
イギリスの巨大財団グループであるジェラード財団が経営する、
グレートブリテン王立大学付属の高等科の学校であった。
この学校に令太は男子生徒として入学し、周囲の生徒達にも、
男子生徒として扱われ、令太は本当に生まれて初めて、
男子生徒としての学校生活をスタートさせた。
イギリスはお国柄、ジェントルメンとレディーの文化が明確に区別され、
洗練発展していたので、その中でジェントルメンとしての立ち位置を把握し、
適応する事は、今まで令の支配に忠実に従って来た令太にとって、
数段ハードルの低い行いであった。
こうして令太はついに、本来の自分の生物学的性別である『男』として、
己の人生をやり直す事に成功したのである。
これそが本当の自分!
ここでの生活こそが本来歩むべき俺の人生!
俺はもう、二度と日本には帰らない!
俺の人生を、生まれた瞬間から狂わせた、あの姉が居る日本には!
令太は、シベリアで凍ったバナナのように固い決意を、当時の学生寮の自室でした。




