12 子供にスーパーファ○コンを買い与える程度の感覚
閑話休題。
そんなこんなで学校へ行くのがいい加減に嫌になっていた令太だったが、
かと言って屋敷に引きこもろうにも、そこには令が居て、
令太を更なる美少女へと磨きをかけるだけである。
こうなると令太が安らげる場所は何処にもなく、
令太はそんな息苦しい環境の中、中学での三年間を過ごした。
そして中学を卒業した後は、
令が通っている国立エシオニア学園の女子部に進学する事が、
令によって決められていた。
ここは生粋の淑女を育成するための教育機関。
このままでは本当に女としてしか生きて行けなくなると感じた令太は、
中学を卒業した春休みに、イギリスの学校への留学を、
令と両親に申し出たのであった。
子供の意志を最大限に尊重し、海外留学の費用なぞ、
子供にスーパーファ○コンを買い与えるような感覚で捻出できる凄木家の両親にとって、
令太をイギリスに留学させる事は何の造作もない事だった。
かくして令太はその年の春休みに、イギリスの学校へ留学するべく、
日本を後にした。
それは令太にとって留学というよりも、亡命に近い行動だった。
そしてそれを見送った時の令の悲嘆と喪失感は、
第一巻の第五話で切々と語られているので、そちらを参照していただけるとありがたい。
とにもかくにもこうして生まれて初めて令の元を離れ、
完全に自由の身となった令太は、希望に胸を膨らませ、イギリスへと旅立った。




