5 令太は性に目覚めない
いや、それは当たり前やないかいと関西弁で突っ込まれそうだが、
それは令太がこれまで歩んで来た人生において、衝撃以外の何物でもなかった。
その場に居た誰一人として、男のシンボルが付いている者は居らず、
普段から男勝りの性格で、男子よりも腕っ節が強く、
こいつはどう考えても男だろうと思っていた女子にも、
男のシンボルはついていなかった。
本当にそこには生物学的な女子しか居らず、
その場にあって唯一、令太だけが男だったのだ。
ちなみにこの時、クラスメイトの女子のスッポンポンの姿を目の前にして、
令太が性に目覚めたかというと全くそうではなかった。
スタイル的には日頃から一緒に風呂に入っている令の方が、
はるかにグラマーであったし、その事もあって、
令太は異性の体に対してある意味麻痺してしまっており、
令よりも貧相なスッポンポンを目の前に見せられた所で、
令太の男のシンボルは、何の反応も示さなかった
それよりもむしろ、この場に居る生物学的な男は自分一人で、
今まで信じていた令の教えが、全て嘘偽りだったのではないかという事実に、
雷に打たれたようなショックを受けたのだった。
つまり、男でありながら女の子として学校に通っているのは、
完全に自分一人だけであり、他の男の子は男の子として、
そして女の子は女の子として学校に通っている。
自分だけがその枠から外れ、集団のルールを破っているような、
そんな罪悪感に、令太は襲われたのである。
なのでその時、令太が体の不調を訴え、
風呂に入る事を辞退した事は言うまでもない。




