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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第二話 紳士クンと令太の生い立ち
43/158

1 改めて確認

 凄木令太(すごくきれいた)は男である。

という事は、今更殊(こと)(さら)に宣言するまでもないのかもしれないが、

国立エシオニア学園女子部、

一年菫組に凄木令奈(すごくきれいな)として所属する彼女、否、彼の姿を見れば、

改めてその事を宣言しておいて、

何ら無駄でも余計でも蛇足でもない事は自明の理である。

姉である凄木令(すごくきれい)と同じ黄金の絹のようなブロンドヘアーを背中まで伸ばし、

スレンダーで引き締まったプロポーションを備え、

何者をも容易に寄せ付けない孤高の光を放つその瞳は、

それでいて遠巻きに眺める者の心を掴み、虜にしてしまう。

凄木令太はそんな魔性の女とも言える魅力を、

自ら望んではいないものの携えており、

男の身でありながら、エシオニア学園の女子部という、

生徒も教師も女性しか居ない環境の中で、完全に女子と認識され、

女子として学園生活を送っているのだ。

だが令太は、決して自分で選んでこのような人生を歩んでいる訳ではなく、

凄木令(すごくきれい)という、自分のふたつ年上の姉の歪んだ欲望の餌食となった為に、

このような不本意な人生を歩まざるを得ない状況に、

甘んじて身を置いているのだ。



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