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1 改めて確認
凄木令太は男である。
という事は、今更殊更に宣言するまでもないのかもしれないが、
国立エシオニア学園女子部、
一年菫組に凄木令奈として所属する彼女、否、彼の姿を見れば、
改めてその事を宣言しておいて、
何ら無駄でも余計でも蛇足でもない事は自明の理である。
姉である凄木令と同じ黄金の絹のようなブロンドヘアーを背中まで伸ばし、
スレンダーで引き締まったプロポーションを備え、
何者をも容易に寄せ付けない孤高の光を放つその瞳は、
それでいて遠巻きに眺める者の心を掴み、虜にしてしまう。
凄木令太はそんな魔性の女とも言える魅力を、
自ら望んではいないものの携えており、
男の身でありながら、エシオニア学園の女子部という、
生徒も教師も女性しか居ない環境の中で、完全に女子と認識され、
女子として学園生活を送っているのだ。
だが令太は、決して自分で選んでこのような人生を歩んでいる訳ではなく、
凄木令という、自分のふたつ年上の姉の歪んだ欲望の餌食となった為に、
このような不本意な人生を歩まざるを得ない状況に、
甘んじて身を置いているのだ。




