表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンと、人のよい委員長
42/158

30 とりあえずこの場は乗り切る

 「副会長と、何のお話をされていたんですか?」

 太刀と少し距離が離れた所で、好子が走りながら紳士クンに尋ねる。

それに対して紳士クンは、苦笑いを浮かべながらこう返す。

 「あはは、今回の遅刻を見逃す代わりに、

今度生徒会の仕事を手伝えって言われたんだ」

 「まぁ、それなら私もお手伝いします。

私だけ無条件で見逃してもらうなんて不公平ですから」

 「い、いや、大丈夫だよ!

委員長さんは日頃の行いのおかげで見逃してもらえたんだから、

何も不公平な事はないよ!」

 「そう、ですか?

でも、もし何か私にお手伝いできる事があれば言ってくださいね?

今日は乙子さんに沢山手助けをしていただいたので、

今度は私が乙子さんの手助けをしたいんです!」

 「う、うん、その時は、お願いするよ」

 まさか命の危険にさらされるかもしれない事を好子に手伝ってもらう訳にも行かないので、

紳士クンは曖昧にほほ笑んでそう返す。

 (でも好子さんなら、自分が命の危険にさらされるような事でも、

喜んで協力してくれるんだろうな)

 今日の事で好子の人の良さを改めて実感した紳士クンは、

並んで走る好子の横顔をチラリと眺めながらそう思った。

一方の好子は、密かに憧れを抱いていた紳士クンと、

少しだけお近づきになれた事がとてつもなく嬉しくて、

溶けたアイスクリームのように表情が崩れてニヤついてしまいそうなのを、

必死に我慢しながら走っていた。

 こうして紳士クンは、男らしい男への階段は一段も上れなかったが、

好子と少し仲良くなる事ができた。

そしてまた、エシオニア学園での女の子としての一日が始まるのであった。

 (それにしても、命にかかわるような危険な手伝いって、一体何なんだろう?)

 それはまた、後日明らかになる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ