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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンと、人のよい委員長
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25 片腕だけで全力疾走の二人を止める程度の腕力

 校舎全体に、エシオニア学園の始業時刻を告げる、教会の鐘の音が鳴り響いた。

この時、紳士クンと好子は校門の手前五メートル程の所に居た。

 (か、鐘の音が鳴り終わるまでに校門を駆け抜ければ、見逃してもらえるかも!)

 自分にそう都合よく解釈した紳士クンは、

 「ご、ごきげんよう太刀お姉様!」

 と言いながら、太刀の横を勢い任せに通り過ぎようとした。

だが。


 「待て」


 太刀はそう言うと同時に、右手に持った木刀(普段は背中にしまっている)

を真横に出し、紳士クン達の行く手をはばんだ。

全速力で走って来た紳士クンはその場で立ち止まる事ができず、

そのまま太刀が横に差し出した木刀に突っ込む。

これが遮断機の竹製の棒ならば、勢い任せに突っ切る事もできただろうが、

太刀が差し出した木刀は、全速力で走って来た紳士クンがぶつかってもビクともせず、

それがお腹の辺りにめり込んだ紳士クンは、

 「ふぐぅっ⁉」

 という声とともに、その場で上半身が前のめりになりながら急停止をさせられた。

そしてその真後ろを走っていた好子もすぐに立ち止まれるはずもなく、

 「きゃぁっ⁉」

 という声とともに紳士クンの背中に激突。

しかしそれでも尚、太刀の木刀はビクともせず、

その木刀と好子の背中からの衝撃に板挟みになった紳士クンが、

 「んぎぅっ!」

 という、悲愴な悲鳴を上げただけだった。

 (全力で走って来た二人分の衝撃を、

右腕の木刀一本で受け止めるなんて・・・・・・)

 お腹にめり込んだ木刀の痛みと、背中にぶつかってきた好子の衝撃に耐えながら、

太刀の凄みを改めて感じた紳士クン。



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