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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンと、人のよい委員長
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14 次なるターゲット

 「可愛いおばあさんだったね」

 「ええ、本当に」

 紳士クンの言葉に、好子がにっこりほほ笑んでそう返す。

その笑顔は、おばあさんの力になれてよかったという喜びに満ちていた。

 (委員長さんは、本当に心の優しい、聖母様みたいな人なんだなぁ)

 紳士クンはシミジミそう思いながら駅の時計に目をやると、

まだ余裕を持って学園に到着できる時間だったので、

 「それじゃ、行こっか」

 と、好子に声をかけた。

それに対して好子は、

 「そうですね」

 と、返事はしたものの、その視線は、

学園へ続く道とは全く別の方向に向けられていた。

そしてその視線の先には、

その場にしゃがみ込んでいる二十代半ばのOL風の女性が一人。

気分が悪くてしゃがみ込んでいるという訳ではないらしく、

何かをその場に落としてしまったようで、わずらわしげに眉にシワを寄せながら、

地面を食い入るように眺めていた。

 「あの人・・・・・・」

 どうしたのかな?

と、紳士クンが声に出そうとした時、

好子は空間を省略して、

その場に移動したのではないかという素早さでその女性の元に歩み寄り、

 「どうかなさいましたか?」

 と、声をかけていた。

 (は、はやい・・・・・・)

 困っている人を見れば助けるという判断の早さと、

そこから動き出す行動の速さに、紳士クンは感心や驚きを通り越し、

もはや呆然に近い心境で好子の背中を眺めていた。



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