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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンと、人のよい委員長
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9 想定外の重さ

 (い、いつの間におばあさんの所に移動したんだ⁉)

 と、紳士クンが目をひんむく中、おばあさんは嬉しそうにほほ笑みながらも、

遠慮がちな物腰でこう返す。

 「へぇ、御親切にどうもあにがとうございますだ。

だども、この荷物はバリてぇ重いっぺがら、

あたごのようなめんこい娘さな、とても持てねぇべなさ」

 一体どの地方の方言なのかは全く不明だが、

その言葉の内容を理解した様子の好子は、両拳をグッと握って快活に声を上げる。

 「大丈夫です!私、こう見えても体力には自信がありますから!」

 「そうだべか?んならちと、改札口さどごろまでお(ねげ)ぇできますべか?

そこに息子夫婦さ(むけ)ぇに来てくれてるはずだべから」

 「はい!お任せください!」

 おばあさんの申し出に好子は右の拳で自分の胸をドンと叩き、

おばあさんがしょっていたリュックを代わりに背負うべく、

おばあさんに背を向けて腰をかがめる。

それを見たおばあさんはまず両手に持った大きな鞄を地面にドン!

と音を立てて置き、しょっていた大きなリュックを背中から下ろし、

両手で抱えて好子の背中に添えた。

 「バリてぇ重いっぺがら、気ぃつけてくんろ」

 「はい!大丈夫です!」

 と好子は言いながら、リュックの背負い(ひも)に両腕を通す。

 「んだら、両手ぇ離すべ」

 「はい!」

 好子が元気よく返事を返すと、

おばあさんは長い年輪が刻まれた両手をリュックから離し、

その瞬間、リュックの重さが好子の背中にズシンとのしかかった。

 「ふぐっ⁉」

 と、声を上げたのは好子。

そしてさっきの笑顔は瞬時にして消え去り、額から大量の冷や汗が吹き出した。



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