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28 正に鶴のひと声
するとその声が一番近くで闘っていた莉伊汰と郁子の耳に入り、
それが心にも響いたようで、
二人は素直にその手に握りしめていた木刀をその場に投げ捨て、闘う事をやめた。
そしてまだ闘いを続けている他のメンバー達に向かい、それぞれ大声を張り上げた。
「皆!喧嘩は終わりだよ!拳を引っ込めて集合しな!」
「皆さん!喧嘩は終わりです!すぐに集まってください!」
郁子と莉伊汰がそう言うと、
暴走族とメイドのメンバーはただちにピタッと喧嘩をやめ、
まるで軍隊のごとき素早さと正確さで、それぞれのリーダーの元に集合した。
かくして後に
『日曜日の決闘』
と名付けられるこの大乱闘は、紳士クンのひと声で幕を閉じたのであった。




