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27 紳士クンの雄叫び
そう思った紳士クンは後先考えずに二人の元に駆けだした。
それに気付かない伴兆太郎と令太は、最後の力を振り絞るように頭を振りかぶり、
相手の額目がけて頭突きを繰り出した!
するとその間に紳士クンが
「もうヤメて!」
と叫びながら割って入ったが、今更その頭突きが止まるはずもなく、
二人の頭突きは紳士クンの頭を左右から挟む形で炸裂した。
グヮチィン!
その強烈な頭突きを左右からまともにくらった紳士クンは
「だはぁっ」と声を上げ、
両目をグルグル回し、後ろによろめきながら、仰向けにステーンと倒れ込んだ。
「け、蓋垣?」
「な、何でここに?」
その姿を見てようやく正気に戻った伴兆太郎と令太は、
そう声を上げて紳士クンの元に駆け寄った。
すると紳士クンは
「う~ん・・・・・・」
と唸り声を上げながらすぐに目を開き、ガバッと身を起こす。
そして周りではまだ乱闘が続いている事を見るや、
スックと立ち上がり、両手を輪っかの形にして口に当て、あらん限りの大声で叫んだ。
「皆さん!この喧嘩は引き分けです!だからもうやめてください!」




