26 ここで行かなきゃ男じゃない!
伴兆太郎と令太が交互に頭突きを浴びせ合い、どちらもその場に倒れる事なく、
延々とその応酬は続いた。
そんな中互いの額には青アザができ、
しまいには眉毛の周りが切れて血も流れだしたが、
それでもお互いひるむ事なく、相手に頭突きをお見舞いする事をやめようとしない。
その様子を倉庫の入り口で眺めていた紳士クンは、血走る眼を大きく見開きこう思った。
(ここで行かなきゃ男じゃない!)
そして倉庫の奥を目指し、稲妻のごとく駆け出した。
途中、敵か味方か分からない暴走族やメイド達が襲いかかって来たが、
紳士クンはそれをすんでの所でくぐり抜け、
サブリーダーの土師李弥とメイド長の芽衣渡千陽が、
カンフー映画ばりの動きで闘っている間をかいくぐり、
リーダーの羽馬郁子と執事の瀬野莉伊汰が互いに木刀を持ち、
時代劇のようなチャンバラを繰り広げている中をすり抜けて、
何とか伴兆太郎と令太が頭突き合戦をしている所まで辿り着いた。
そして息を切らしながらそれを見上げると、
どちらも額にアザや切り傷ができ、
繰り返す頭突きの衝撃で、両足がフラついていた。
(これ以上続けたら、本当に大変な事になる!)




