25 凄木令太VS伴兆太郎
そんな中令太が怒り心頭の口調で伴兆太郎に切り出した。
「テメェがくだらねぇ事企むから、蓋垣の家に行けなくなっちまっただろうが!
この落とし前どうつけるつもりだ⁉」
「うるせぇ!貴様が余計な事を計画しやがるから、
俺と蓋垣の楽しい休日が台無しになったんだ!
責任はとってもらうからな!」
互いに自分の事は棚に上げてそう叫び、更に令太がこう続ける。
「もうカンベンならねぇ!
二度と蓋垣に近づこうなんて思わねぇよう、ここでブチのめしてやる!」
それに対して伴兆太郎も怒髪天のごとき怒りで以てこう返す。
「そりゃあこっちのセリフだ!貴様が女だろうが関係ねぇ!
二度と蓋垣と会えねぇよう、この場でブッ潰す!」
そして互いに野獣のような雄叫びを上げ、目の前の敵目がけて突進した!
そして両手が使えない令太は上半身を思い切りのけ反らせ、
それを戻す反動で伴兆太郎の額に強烈な頭突きをお見舞いした!
ゴヅゥッ!
鈍く低い音が響き、石頭の伴兆太郎もその一撃に
「ぐっ」と声を上げて思わずひるんだ。
しかしすぐさま立ち上がり、お返しの頭突きを令太の額に炸裂させる。
ゴツゥン!
再び鈍く低い音が響き、相当応えた様子の令太は後ろに二、三歩よろめいた。
するとそれを見た伴兆太郎は嘲るように言った。
「ハッ、相当効いてるようだな。泣いて詫びるならこれで勘弁してやってもいいぜ」
しかし令太は薄ら笑いを浮かべながらこう返す。
「ケッ、テメェこそヤセ我慢してんだろ。
この場で土下座するなら許してやらん事もねぇんだがな」
「誰が土下座なんぞするかよ!」
「俺だって泣いて詫びるつもりなんかねぇ!」
伴兆太郎と令太はそう叫び、そこから完全ノーガードの頭突きの応酬が始まった。




