2 見た目や声でバレる可能性は、ほぼない
元々紳士クンは地声が高く、
加えて高校に入ってから常に女の子に囲まれながら女の子として振る舞っている影響で、
声の方も、本人も無意識のうちに、まるでアニメ美少女のような可愛い声になっていた。
今や紳士クンの声や喋り方は、
ひとつ年上で生物学的には本物の女である撫子よりも、
女の子らしくて可愛いそれになっているのだ。
なので声や喋り方で紳士クンが男だとバレてしまう事はまずないだろう。
次に体つきの方であるが、紳士クンはヒゲが全く生えず、体毛も少ない。
脚のムダ毛にしても、本家の女である撫子よりも少なく、
肌はきめ細やかで色白で、肩の線はなよやかで、
手の甲にはゴツゴツした部分は一切無く、撫子よりも女の子らしい手をしているのだ。
ちなみにこれだと撫子は本物の女子の割に、
イマイチ女らしさが足りないのではないかと思われてしまうが決してそうではなく、
彼女は異性だけでなく同性にもモテる、外見も中身も魅力的な女子だ。
が、『女の子らしさ』という点にだけ絞ってみると、
残念ながら、生物学的には男の紳士クンの方に軍配が上がってしまうのだ。
そんな訳なので、声や外見の面で紳士クンが男だとバレてしまう確率はほぼゼロで、
現に今乗っている電車の車両の中でも、
紳士クンが実は男じゃないかと疑う者は一人も居らず、
憂いに満ちた表情を浮かべ、
ドアの傍に学生鞄を両手で持って佇む紳士クンの姿は、
同世代の女子ですらもちょっとドギマギしてしまうほどに、
女の子らしさに溢れていた。




