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12 静香と色雄
更にその頃、
静香は薄いベージュのブラウスと膝下丈のプリーツスカートに身を包み、
例の古書喫茶に向かうべく、お出かけの準備を整えていた。
今日のコンセプトは
『休日をのんびり過ごす為の、頑張らないオシャレコーデ』である。
そしてひと通り準備を終えた静香は、
「それじゃあお兄ちゃん、今日は家で大人しくしていてね」
と言い残し、玄関のドアをそっと閉めて出て行った。
そしてその家の廊下には、両手と両足を粘着テープで固く縛られ、
口も粘着テープで塞がれた、静香の双子の兄の色雄が、
悲愴なうめき声を上げながら転げまわっていた。
「モガガーッ!モガガモガモガモガ、モモガモッガモガーッ!」
静香ーっ!俺も撫子さんの所へ連れて行ってくれ―っ!
と、言っているが、今日の静香は撫子の所へ遊びに行く訳ではなかった。
残念。




