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11 そして令太も廃倉庫に
――――――それから約十分程走った後、
令太が乗せられたバイクが停車し、
郁子の腰の前で縛られていた結束バンドがパチンと切られ、
「着いたよ。降りな」
という郁子の声に従い、令太はバイクから降りた。
するとまだ目隠しのヘルメットを取らないうちに、
郁子の手下達が令太の両手を後ろに回し、
それを再び結束バンドで縛り上げ、
その後ようやく目隠しのヘルメットが脱がされ、
令太は何処に連れて来られたのかを知る事ができた。
そこはどうやら工業団地の一角にある廃倉庫の前で、
令太はこの中に閉じ込められるべく連れて来られたようだった。
その廃倉庫を言葉もなく見上げる令太に、郁子はわざとらしい恭しさでこう言った。
「さ、着きましたよお嬢様。倉庫の中までアタイがエスコートいたしましょう」
それに対して令太は、吐き捨てるようにこう返す。
「必要ねぇよ」




