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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第一話 紳士クンと、人のよい委員長
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1 紳士クンのお悩み

 「はぁ~っ・・・・・・」

 この物語の主人公である蓋垣紳士クンは、

国立エシオニア学園へ向かう電車の中で、

肺の空気が全て漏れ出そうな程に深いため息をついた。

それは今朝見たあの夢の恐怖が未だに紳士クンの心をかき乱しているからだが、

それと同時に次の様な悩みが、紳士クンの頭の中で渦を巻いていた。


 (僕の人生は、これからどうなっていくんだろう?)


 紳士クンは生物学的に間違いなく男なのだが、

生まれつき女の子のような顔つきと物腰だったため、

幼少の頃から周りの悪ガキどもにバカにされ、

苛められ、軽蔑されてきた。

しかしそれではいけないと紳士クンは一念発起(いちねんほっき)し、

強く凛々(りり)しくたくましい男に生まれ変わる為、

その象徴たる真のジェントルメンを育成する学園である、

国立エシオニア学園の男子部への入学を決め、見事にその入試に合格。

そして紳士クンは晴れて真のジェントルメンへの道を、

歩み始めるはずだった・・・・・・

のだが、その入学式の当日、

国立エシオニア学園女子部の生徒会長である凄木令と偶然出会ってしまった事により、

真のジェントルメンを目指す紳士クンは、

強く可憐で慎ましい淑女を育成する、

国立エシオニア学園の女子部(・・・)に、女の子として入学させられてしまった。

こうして今日に至るまで紳士クンは割と不本意な日々を送っている訳なのだが、

これからの人生がどうなるかという悩みは、

常に紳士クンの頭の中で渦を巻いていた。

そういった悩みは紳士クンの年頃の少年少女ならば誰しも抱くものかも知れないが、

紳士クンの場合、その悩みの方向性が、他の人とは少しばかり違っているのだ。

ちなみに今紳士クンが抱えている悩みは、次のようなものである。

 (今はこうして女の子のフリをして女子校に通えているけど、

これから僕も声変わりをして、本格的に男らしい声になるよね。

それに体つきもゴツゴツしてたくましくなって、ヒゲやスネ毛も生えて、

いくらウワベを取り(つくろ)ったとしても、女の子には見えなくなる。

そしたら周りの人達にも僕が男だっていう事がバレて、今の学園には通えなくなる。

いや、それは僕にとってはむしろ好都合なんだけど、

あの木比(きび)(しの)先生や、鎌井(かまい)太刀(たち)お姉様がこの事を知ったら、

どんな目にあわされるか・・・・・・

もしかすると僕は、女装をして女子校に侵入した変態男として、

警察につき出されるかも。

そしてそのまま刑務所に入れられて、

僕の家族は一生世間にうしろ指を指されて、

生きて行かなくちゃならないのかもしれない。

あぁ、そんな事になったら僕は、僕は・・・・・・)

 「はぁ~っ・・・・・・」

 そんな事を思い悩み、再び大きなため息をつく紳士クン。

ちなみに結論から言うと、

今の所紳士クンが声変わりや体つきの変化によって男だとバレる可能性は・・・・・・。


 ほぼ、ゼロである。



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