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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第五話 紳士クンと、日曜日の決闘
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4 精鋭揃いのメイド隊

 そう言って莉伊汰が軽く右手を上げると、

周囲の路地や電柱の影や家の塀の上から、

メイド服に身を包んだ凄木家のメイド達が現れ、

まるで軍隊のような素早さと手際の良さで、

あっという間に伴兆太郎の周囲を取り囲んだ。

その数ざっと二十名。

そして各々が両手にさすまた(・・・・)を持ち、その先を伴兆太郎に差し向けている。

おまけにそのメイド達は令奈が武闘派と言っただけあり、

四肢と体躯は強靭に鍛え上げられ、武道の心得もあるらしく、

その構えに一分の隙もない。

一人一人を相手にすれば何とか退けられそうだが、

これだけの人数を相手にするとなると、流石の伴兆太郎も、

この前の不良共の時のようにはいきそうになかった。

 (あの女、どうあっても俺を蓋垣の家に行かせねぇつもりだな。

ここは素直に捕まって、後で隙を見て逃げ出す方が得策か)

 そう考えた伴兆太郎はひとつ息をつき、両手を上げて言った。

 「わかった、好きにしろよ」

 すると莉伊汰が一人のメイドに合図を送り、

それを受けたそのメイドはさすまた(・・・・)をその場に置いて伴兆太郎の背後に歩み寄り、

黒地のバンダナを伴兆太郎の目元に巻きつけて目隠しをし、

両腕を後ろに回させ、それを(あさ)(なわ)で固く縛り上げた。

視界は完全に遮られ、縄も相当固く縛り上げられているらしく、

怪力の伴兆太郎の腕力を以てしても、容易にほどけそうにはない。

そんな中、不敵な笑みが想像できるような声色で、莉伊汰はこう言った。

 「それでは、行きましょうか」



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