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12 紳士クンは二度去勢される
そんな紳士クンの心の様子を露も知らない撫子は、
ただ、目の前のバナナを、
バナナとして食べる為に、
そのバナナを、
食べた。
パクッ。
その瞬間、バナナの三分の一程がかじり取られ、撫子の口の中に消えて行った。
この光景を見た紳士クンは、悲鳴こそ上げなかったものの、
先ほどの夢の出来事が再び現実で再現され、
落下した巨大隕石が、脳天に直撃したような衝撃を受けた。
かくして、力強くてたくましい、真のジェントルメンを目指す紳士クンは、
夢の中と現実で、二度も去勢されてしまった。
だが、それは精神的なもので、紳士クンのお股には、
立派な（かどうかは本番の時にならないと分からない）バナナがちゃんとついている。
紳士クンが真のジェントルメンとして生まれ変わる為の道は、
まだ閉ざされた訳ではないのだ。
そして今日も紳士クンの、割と不本意な一日が始まる。
頑張れ紳士クン。
負けるな紳士クン。
