23 令太の命令
「おとこ?はい、乙子という名前なんですよね?」
「違ぇよ!名前じゃなくて性別の話だ!
あいつは、蓋垣は女子の制服を着て女子校に通っちゃいるが、
性別は俺と同じ男なんだよ!」
「え⁉そうなんですか⁉」
令太の言葉に驚きの声を上げる莉伊汰。
しかし男の身でありながら女装をして女子校に通っているのは、
我が主人である令太も同じ事なので、莉伊汰はそこに驚いたのではなく、
次の事に驚いたのであった。
「つまり令太ぼっちゃんは、ホモ、だったんですね。なるほど~」
そう言って腕組みをし、何度も頷く莉伊汰。
それに対して令太は立ち上がって声を荒げる。
「だから違ぇよ!ホモなのはあの番長野郎の方だ!
俺は純粋に友達として、あのホモ野郎から蓋垣を守ってやりてぇだけなんだ!」
「なるほど分かりました。よ~く分かりました」
「ぜってぇ分かってねぇだろテメェ・・・・・・」
「そんな事ありませんよ。
で、僕は明日、ぼっちゃんが蓋垣さんと二人きりで過ごせるようにする為に、
どんな協力をすればいいんですか?」
「二人きりって表現がどうも引っかかるが、まあいい。
明日お前はウチの武闘派のメイドどもを二十人ばかり使って、
あのホモ番長を街外れの廃工場にでも連れ去って、
夜になるまで閉じ込めておいて欲しいんだよ」
「物凄い力技ですね。
人一人を何処かに閉じ込めるなら、
せいぜい五人くらい居れば何とかなると思いますけど」
「あの野郎はホモの変態だが、腕っ節は相当強いみてぇなんだよ。
蓋垣の話じゃあ、あいつは中学の頃から『番長』と呼ばれ、
それはエシオニア学園の男子部に入ってからも続いているらしい。
そんな奴を何とかするなら、人数は多過ぎるくらい揃えておいた方が確実だろう」




