22 執事はホントにズケズケ言う
そしてそれを踏まえた上で、莉伊汰は令太にこう言葉を返す。
「協力するしない云々を言う前に、今の率直な気持ちを言ってもいいですか?」
それに対して令太は、鋭い口調で切り返す。
「いやダメだ。
お前は俺に対して本当にズケズケ率直な気持ちを言い過ぎるきらい(・・・)があるからな。
つべこべ言わずに俺に協力すると言えばいいんだよ」
それに対して莉伊汰は、主人の鋭い言葉を軽くかわして口を切る。
「今までただの一人も仲のいいお友達ができなった令太ぼっちゃんが、
誰かの家に招かれる事になったという事実に驚きを隠せません。
一体どんな手を使ったんですか?
色仕掛けですか?
それとも一緒に遊んでくれたら百万円あげるとでも言ったんですか?」
「んな訳ねぇだろ!どんだけ高額の援助交際だよ⁉
それに色仕掛けもしてねぇ!
蓋垣は純粋に、お、俺を、と、友達として、
い、家に、呼んでくれたんだよ・・・・・・」
言葉の後半になるにつれて、勢いが削がれて目を泳がせる令太。
それを見た莉伊汰は、
令太の『蓋垣』という人物に対する気持ちを令太本人よりも正確に把握し、
ここがチャンスとばかりに言葉を畳みかけた。
「ほう、それは実に興味深いですね。
そもそもその蓋垣さんという方は一体どんな女性なんです?
ぼっちゃんの態度から察するに、ただのクラスメイトという訳でもなさそうですね?
今までどんな男性や女性に言い寄られても、
食指のひとつも動かさなかった令太ぼっちゃんがこんなに御執心になるなんて、
蓋垣さんという方は、さぞかし魅力的な女性なんでしょうね」
「いやうるせぇよ!誰も蓋垣にご執心になんかなっちゃいねぇよ!
それに、あいつは・・・・・・」
「あいつは、何です?」
口を噤んで俯いた令太を上から覗き込むように莉伊汰が聞き返すと、
令太はしぼり出すような声で言った。
「おとこ、だし・・・・・・」




