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紳士クンの、割と不本意な日々Ⅴ  作者: 椎家 友妻
第四話 紳士クンと三角関係
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14 静香の決めゼリフと、令太のこのシリーズ最高のツッコミ

 という物凄い音が響き、

紳士クン、令太、伴兆太郎は、

いきなりの衝撃音にびっくらこいてその場にひっくり返る。

そして紳士クンが尻モチをついたお尻をさすりながら音がした方を見やると、

傍らに立っていた静香が、

『トム・ソーヤの冒険』と

『ハックルベリー・フィンの冒険』の本をそれぞれ左右の手に持ち、

その表紙同士を柏手(かしわで)の要領で思いっきり打ちならしたのだ。

そしてそんな静香の口から、静かに出た言葉はこれだった。


 「図書館では、お静かに願います」

 「あんたが一番うるせぇよ!」


 令太がイの一番にそう突っ込んだが、静香は意に介する様子もなくこう返す。

 「私は図書委員。図書館を静かに使っていただく為には、

いかなる手段を使う事も(いと)わないのです」

 それに対する伴兆太郎の反応はこうだった。

 (この女、相当できる図書委員だな)

 一方紳士クンの反応はこうだった。

 (こんなに分厚くて沢山の本を、一体どこから出してるんだろう・・・・・・)

 しかしここで大事なのはそんな事ではないので、

紳士クンは頭をブンブン横に振り、気を取り直してこう考えた。

 (とにかく静香さんに助けられてばかりじゃいられない。

ここは僕が男らしく毅然とした態度で、この場を収めないと!)

 完全に男二人に言い寄られるヒロインの立場に立たされている紳士クンだったが、

いついかなる時でも真のジェントルメンを目指すという大義名分のもと、

更にこう考えた。

 (とりあえず、明日令太君を家に呼ぶのはやめて、

伴君のお誘いも丁重にお断りしよう。

そうすれば、少なくともこの場で二人が喧嘩する理由はなくなるはず)

 そう考えをまとめた紳士クンは、男らしく腹をくくって話を切り出そうとした。



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