13 両雄の激突
そんな中伴兆太郎は再び紳士クンにズイッと詰め寄り、
熱い眼差しと口調で切り出した。
「蓋垣、俺の気持ち、分かってくれたよな?
そういう事だから、明日はこんな不埒な女なんかを家に呼ばなずに、
俺とデートをしてくれ!」
「え、えぇえええっ⁉」
伴兆太郎のどストレートな申し出に、
紳士クンは口から魂と心臓が飛び出しそうなくらいに驚きの声を上げたが、
そこに再び令太が割って入り、額に青筋を浮かべながら声を荒げた。
「ふざけんなテメェ!
だから先に蓋垣と約束してたのは俺の方なんだよ!
それにテメェみたいに好きな相手をホイホイ乗り返る奴に、
蓋垣は絶対に渡さねぇ!蓋垣は俺が守る!」
しかし伴兆太郎も全く引かずにこう返す。
「それはこっちのセリフだ!
貴様のように同性である蓋垣に淫らな欲望を抱く女に蓋垣は渡さん!
蓋垣を守るのは俺の方だ!」
「いーや!俺だ!」
「俺だ!」
「俺だコノヤロウ!」
令太はそう叫ぶと、右の拳を振り上げ、
それを伴兆太郎の鼻っ柱目がけて突き出した!
それとほぼ同時に伴兆太郎は右の平手を振り上げ、令太の頬を狙って振り下ろす!
(ダメだ!今度こそ僕が止めなきゃ!)
そう思った紳士クンは、咄嗟に二人の間に割って入る!
と、その時だった!
パァン!




