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12 迚摸静香はとても静かに楽しんでいた
そしてそれをうすうす感じてはいたが、
この場で改めてハッキリキッパリと宣言されてしまった紳士クンは、
白目をむき、口から魂が漏れ出た状態になりながらこう思った。
(ば、伴君、片想いの相手にこんなにハッキリと自分の想いを伝えるなんて、
何て男らしいんだ。でも、これは、
さらにとてつもなくややこしい事になっちゃったような・・・・・・)
そう、もはや伴兆太郎は完全に紳士クンの事を本物の女の子と思い込み、
女の子の乙子ちゃんに恋をしてしまったのだ。
一方、この様子を静かに見守っていた静香は、両手で口元を覆いながらこう思った。
(乙子さん、大変ね。でも、凄く面白い展開・・・・・・)
楽しんでいた。
迚摸静香は、とても静かにこの状況を楽しんでいた。




