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10 静香は静かに楽しんでいる
伴兆太郎の言葉に、完全に言葉を失う令太。
そして同時に、次のような想いが令太の心の中を埋め尽くした。
(もし、こいつの言う事を認めちまったら、
俺も、ホ・・・・・・いや、そんなはずはねぇ!)
あらぬ考えに流されそうになった令太は、
それを振り払うように頭をブンブン横に振った。
一方紳士クンは、そんな伴兆太郎の言葉を聞き、次の様な想いが心の中に渦巻いていた。
(ホ、ホモなのに、男らしい!だけど、その気持ちは受け入れられないよ!)
女の子の格好をし、女の子として女子校に通っている紳士クンだが、
中身は健全な男で、決してそっちの趣味がある訳ではないので、
伴兆太郎がどんなに一途に自分を思ってくれようとも、
そこにトキメキは感じないのであった。
そんな中、完全に傍観者となっている静香は、
普段あまり変わらぬ色白の頬をほのかに赤らめ、
次のような想いに心の中を満たされていた。
(何だか、面白い展開・・・・・・)
静香は一見静かな面持ちでこの様子を眺めていたが、
心の中では相当にこの先の展開に興味津津だった。




