8 令太の反撃
「明日蓋垣はこの俺を、家に招待してくれる事になってんだ!
だからテメェなんかと出かける暇はねぇんだよ!」
「な、何だと⁉蓋垣!それは本当か⁉」
「う、うん」
伴兆太郎の物凄い剣幕の問いかけに、
紳士クンが身をしゃちこばらせながらそう答えると、
伴兆太郎は紳士クンに襲いかからんばかりにこう続けた。
「やめとけ!こいつは女の姿をしているが、
ふしだらな欲望にまみれたスケベ男と同じオーラを感じる!
そんな奴を家に上げたら、お前の操が危ないぞ!」
(そんな事はないけど、『男』という部分だけは当たっている!)
伴兆太郎の当たらずとも遠からずな指摘に、
紳士クンはすぐに言葉を返す事ができなかったが、
代わりに令太が伴兆太郎に頭突きをせんばかりに詰めよって言い返す。
「んな訳あるか!テメェを蓋垣の家に上げるよりよっぽど安全だよ!
さあこれで分かっただろ!お呼びでない奴はさっさと帰りやがれ!」
しかしそんな事で素直に帰る様子はない伴兆太郎は、尚も令太に食ってかかる。
「そんな訳にいくか!例え明日俺と蓋垣が、デ、デートできないにしても、
貴様を蓋垣の家に行かせる訳にはいかん!
例えここで刺し違えてでも、俺はそれを阻止する!」
「何でそこまで邪魔するんだよ⁉テメェは蓋垣のストーカーか!」
「違う!さっきも言ったが、蓋垣は俺の恩人なんだ!」
伴兆太郎は力強くそう言い放つと、今度は一転して静かな口調で口を開いた。
「俺はな、ホモなんだ」




