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1 いつもと違う場所

 ピッ・・・・・・ピッ・・・・・・ピッ・・・・・・。

 意識の遠くから、かすかな音が聞こえた。

それはまるで手術中における、

患者の心拍数を測る電子音のようなそれだった。

この物語の主人公である(けだ)(かき)紳士(しんし)クンは、

その音に誘われるように、静かに目を覚ました。

 「う・・・・・・ん・・・・・・え?あ、あれ?」

 そして目を覚ましてそこに広がる光景が、いつもと違う事に気が付いた。

いつも紳士クンが目を覚ますと、

まず目に入って来るのは紳士クンの部屋の天井だ。

それは何の変哲もない白色無地の天井で、そこに丸く平らな電灯があるだけ。

たまに(というより、割としょっちゅう)、

この家に居候している(もしくは勝手に住み()いている)、

浮遊霊の()()(うれ)()が、

大きな鼻チョウチンを膨らませながらフワフワ浮いて眠っているくらい。

しかし、今紳士クンの視界には、いつもの白い天井も、

のんきに空中で眠りこける愁衣の姿もなく、

その代わりに、まるで手術室の天井に設置されているような巨大な白色灯があり、

そこから放たれる強烈な光に、紳士クンは思わず顔をしかめて目をつむった。

そして薄く目を開き、顔を動かして辺りの光景を眺めまわす。

すると、これまた手術室にあるような精密機器が、

ズラリと紳士クンの横たわるベッドを囲み、

紳士クン自身は手術台のようなベッドの上に仰向けに寝転び、

しかもその手首と足首には、いかにも頑丈そうな金属製の(かせ)のような物をはめられ、

大の字に固定されていた。

 (う、動けないっ!な、何なのこれ?一体どういう事?)

 いつもと違う光景と状況に、慌てて手足を動かそうとする紳士クン。

しかしその手足を固定した枷は見た目通りに頑丈で、

いくら紳士クンが手足に力を込めてもがいた所で、

それが漫画のように『ガシャァン!」と音を立てて砕け散るような事はなかった。



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