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その頃、フルール達は…:友との再会

 零がラフワールと朝食を食べている頃、フルール達はあることで議論を広げていた。

 「ねえ、やっぱり救世主様を助けに行くべきだよ。」

 「わたしもフルールお姉ちゃんの意見に賛成だよ!」

 「しかし、あいつが本当に救世主だったという確証は無いです。ここは、関わらない方が良いかと。」

 そう、零を救出するべきか否かであった。フルールとベルは漸く現れた救世主である零を救出するべきだと判断するが、今までの言動が原因となり、ラヴェーラは零が本当に救世主であるのか疑問を抱き、賛同できずにいた。

 「ラヴェーラお姉ちゃんはお兄ちゃんのことをどうして信用できないの?」

 「あんな身勝手な変態、救世主なわけ無いでしょ。」

 ベルの疑問にラヴェーラは素直に答える。

 「ラヴェーラちゃん、私達の使命を忘れちゃった?私達は困っている人、苦しんでいる人を助ける、例えそれが悪い人でも、変態さんでも。そうでしょ?」

 「ですが…」

 フルールの言葉を聞いても尚、ラヴェーラは賛同できずにいた。すると、荒野の中でも轟々と鳴り響く轟音と共に一台の戦車がフルール達の所に向かってきた。

 「なんだ、このホーンワームは!?」

 迫ってくる戦車ホーンワームを見てラヴェーラは驚く。しかし、その驚きを整理させる間も与えずにホーンワームは停車する。

 「ラヴェーラ様、ここは下がってください。敵襲、サーティアスやウェステリアのものかもしれません。」

 ラヴェーラは薙刀を構える。すると、

 「ああ、大丈夫大丈夫。驚かせて済まねえ。」

 スピーカーから少女の声が聞こえ、ホーンワームのハッチが開くと、一人の少女が顔を出す。

 「あっ、グリーバちゃん!久しぶり!」

 少女、グリーバを見てフルールは手を振る。

 「よっ、フルール!調子はどうだ?」

 「あんまりよくないかも。」

 「おいおい、友として約束しあっただろ?私は武力で、フルールは智力でサンレイドを平和にするって!それで、イースティアに降臨した救世主は何処にいるんだ?」

 気落ちしているフルールにグリーバは質問する。

 「それが、ラフワールさんに連れ去られちゃって、今はサーティアスに…」

 フルールは申し訳なさそうに言う。

 「マジかよ!来るのが遅かったか…」

 フルールの言葉を聞いてグリーバは悔しがる。

 「だけど、あいつが本当に救世主とは思えない。あの低俗な発想に品の無い証明しようも無いスキル。とても救世主とはほど遠い。」

 そんな中でもラヴェーラは自身の意見を発する。

 「だけどその男はクレシェンド様の神聖な黒紫の光と共に降りてきたんだろ?」

 「どちらかと言えば、空から落ちてきた、といった感じだが。」

 「兎に角、そいつは黒紫の光の中から現れて、スキルを持っているだろ?使えないスキルなんて、よくあることだろ?かつて別の国に現れた救世主も、使い道の無いスキルだったって話だぞ。」

グリーバはラヴェーラの話を聞くなり、すぐにホーンワームに乗り込む。

 「おい、どうする気だ!?」

 「決まってんだろ!救世主を助けに行く。このホーンワームはアヴァタール国で買った新品。精度は抜群だ!ほら、フルール達も乗れよ!今回買ったこのダブルラビットって機体は機動性が高いから、動くのにはもってこいだ!」

 ラヴェーラの言葉に対してグリーバは当然のように返答する。

 「あれ?フルール達も乗れよ。あっちまで半日ちょっとで着くぜ!」

 グリーバはホーンワームからひょっこり顔を出す。

 「本当!?ベルちゃん、ラヴェーラちゃん、一緒に行こう!」

 「わかった!」

 フルールは笑顔で返事をし、ベルは一番乗りで乗り込む。

 「ほら、ラヴェーラちゃんも行こう!」

 フルールはラヴェーラに手を伸ばす。

 「…もう、二人とも私がいないと本当に危なっかしいんですから。」

 ラヴェーラは二人に根負けし、フルールの手を借りてホーンワームに乗り込む。

 「よし、行くか!サーティアス、いや、ラフワールに捕らえられている救世主の所へ!」

 グリーバはハッチを閉じてホーンワームを発進させる。

 「それじゃあ、私はサーティアスの王室に電話するね。」

 フルールは二つ折りの携帯電話のような機器でラフワールに連絡を取ろうとする。

 “こちらは、サーティアス王都中央区政治統括室です。”

 電話の向こう側で女性の声が淡々と聞こえる。

 「私です。フルールです。ラフワールさんはいますか?いたら対応をお願いします。」

 フルールは落ち着いた口調で話す。

 “申し訳ありません。ラフワール様は救世主様と席を離しております。”

 女性は淡々と返答する。

 「そうですか。有り難うございます。失礼しました。」

 フルールは通話を終わらせる。

 「今、救世主様はラフワールと一緒にどこかへ出かけているらしいです。」

 フルールは状況を伝える。

 「オッケー!兎に角進んでいくぞ!」

 グリーバはホーンワームの速度を上昇させる。そして、どんどん荒野を進んでゆく。


 夕刻になり、日が沈む頃、フルールは再び政治統括室に電話をするが、電話先の相手の言葉を聞き、通話を終わらせると、フルールは困り顔で口を開いた。

 「ベルちゃん、ラヴェーラちゃん、それからグリーバちゃん、よく聞いて。サーティアスに連れて行かれた救世主様はついさっき、救世主様はウェステリアの襲撃を受けて連れて行かれたらしいです。」

 フルールの悲しむ顔を晴らせることは誰にも出来なかった。

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