彼女ができないのは世の中に彼氏が蔓延るせいであると考えたい。
拙い文ですがどうかお読みください。感想とか少しでもいただければ幸いです。
キャトルミューティレーション事件の犯人を解明して警察に届けようと思った直後まずここからの出方がわからないことに気づく。
「警察に行きたいんですが出口はどこですか?」
「いくら寛容な僕でもそんなこと言われて、ここから出てどこに行きたいか念じれば出れるなんて教えるわけないだろ?」
「え?」
「え?」
今なんか大事なことをサラッと喋っていた気がするけどなんだろう。いやいやいや待て待て。そんな念じれば出れるなんてアニメみたいなことがあるわけ…罠かもしれないし…
そう思いマイケルの方を見る。
めちゃくちゃ汗を流していた。額からだらだらと汚いほどに。
「あのぅ。嘘だからね?念じたりしちゃダメだよ?」
うわぁなんか言ってる。これマジだよ。アニメみたいなことあるんだよきっと。
僕が訝しげな顔をしていると次第にマイケルは涙目になる。そして僕に抱きついてくる。
「お願いだぁ!!ふざけないでちゃんと質問に答えるから!どうか!どうかこのことは秘密にしてくれ!」
「わかった!わかったから離れてくれ!おっさんに抱きつかれて喜ぶ趣味はねーんだよ!」
グスングスンと涙をすすり僕の方から離れるおっさんもといマイケル。
「じゃあ約束通り質問に答えてください。この手の甲の十字架模様はなんなんですか?あとついでにあなたの名前からしてハーフなんですか?」
「グスッ。えっとねその模様は。ん?十字架模様!!?その紋章は!」
急に元気になったかと思うとマイケルは僕の方にまた寄ってきて模様のある方の手を取る。
「この模様はRBマークと言って対リア充リーサルウェポンにもなり得る可能性もなきにしもあらずなものだよ!」
「何その限りなく可能性が低そうなリーサルウェポン。どんな力があるっていうんだよ。」
マイケルは僕の言葉を聞くとまたも満足そうに頷き、口を開く。いやさっきからその挙動やめてほしいムカつく。
「僕ら幹部級が持つ名刺に触れてリア充なんてクソ食らえって言ったときに発現するかもしれないもので
このRBマークには特殊な力があるんだ。
実際に使ってみるまではどんな能力かはわからないんだけど、いづれも強力な能力を秘めていて必殺技になると言っても過言ではない。」
「どうやって使うんだ?」
ちゃんと使えるなら使えるで面白そうなものだ。満喫させてもらおう。
「リア充を前にしてこう叫べばいい。挽回!ってね!」
「やめろよ!!!!お願いだからやめろよ!削除されちゃう!即削除されちゃうから!」
こいつは本当に何を言い出すんだ。ぶりー◯じゃん完璧そうじゃん。
「いや、削除とか何を言ってるかよくわからないけどさとりあえず言ってみなさいよ。さっきからね君文句多いんだよ?大人の言うことは聞きなさい!」
なんだこいつ俺警察に行こうかなって思いつつもしぶしぶ叫んでみる。だって本当にできたらかっこいいじゃん。
「挽回!!」
そう叫ぶと右手の甲の模様が光り出す。そして全身を光が飲み込む。
光が消え、自分の体を見回すと、全身が真っ黒のタイツに包まれ背中には大きな十字架を背負っていた。
マイケルの方を見てみると全身が赤く光って見え、頭の上に何やら文字が見えた。
「ん?中地・マイケル・吉斗、男、32歳、日本人、付き合ってる彼女あり、現在四ヶ月目、殲滅対象…?」
「お、おい君何を言っているんだ??私はWRBO第四部隊副隊長だぞ?そんなリア充みたいなことあるわけ…」
この反応…黒だな。こいつはこんな組織にいながら罪をさらに重ねているというのか。僕に機密情報を漏らし、自身はリア充であると。
だが僕は考えた。ここで弱みを握ればこの組織の中でいいポジションを築けるのではないか。と。
「そもそもあんたはこう言っていたよな。リア充を前にして叫べばいいと!」
「グッ。そ、それは!」
言葉に詰まっているのでさらに畳み掛ける。
「このことをあんたの上司に言えばどうなるんだ?あんたは副隊長。つまり隊長にでも言ったら――――」
「それだけはやめてくれ!私にできることならなんでもする!だから!わたしと夢島くんのことはどうか!」
あれー?また重要単語を暴露したぞ?マジでこいつ副隊長下ろした方がいいんじゃないか?
いやそれよりもっと重要なのが夢島さんがこいつと付き合ってるという事実。処す。
「我、彼の者の刑を執行する者なり。穿て。拘束する杭を。くべろ。業火に薪を。ジャッジメントクロス!」
初めて行使するのに不思議とこの能力の使い方がわかる。この詠唱を行なった後背中の十字架を地面に突き刺す。そして十字架から鎖に繋がれた杭が飛び出しマイケルを十字架に磔にし、炎が下から吹き上がる。
「ちょっとまて!わかった!君の組織内での確固たる地位を約束しよう!だから!」
そこで僕はニヤリと笑い、自分の狙い通りことが運んだことを喜びつつ拘束を解いてやる。自分より優しい人間は中々いないんじゃないかとつくづく思う。
「ちっこのガキいつか―――」
「あ?なんか言ったか?」
マイケルが何かグチグチとほざいてるので少しすこんでおく。いい加減に話を前に進めたいのでヒッと鳴いているマイケルに対して「話を続けろ」と促す。
「おほんっ。えー話を続けると、君にはおそらくリア充の社会的ステータスなどがわかる能力が備わったようだね。」
「そうみたいだな。それで?俺はこれから何をすれば良い?」
「君にはこれからこの組織の構成員になってもらい悪を断罪してもらう。
なに、好きにやってくれればいい。手が足りないと感じればこちらからほかの平の構成員は貸し出す。その能力なら間違いなくネームドになれるだろうしね。」
「ネームド?」
僕は聞き慣れない言葉があったので意味を問う。果たしてこいつからまともな答えが返って来るかは疑問だが。
「まず平の構成員はこの組織内で一人一人の名前を名乗ることを許されていない。沢山いて紛らわしいからね。」
「つまりネームドは名乗ることが許されると?じゃあ平は番号か何かか?」
マイケルは僕の言葉に首肯すると話を続けるために口を開く。
「さっきも言ったがネームドには好きなタイミングで断罪する権限が与えられる。勿論組織の指示で動いてもらうこともあるがね。」
「なるほどな。それで断罪したら記憶とかを消してキャトルミューティレーションって事にするって事でいいのか?」
「察しがいいね。どうだいこの組織に所属する気になったかい?」
僕は目をつぶって他に聞いておきたい事がないか考えた後にそういえばと思い聞くことにする。
「給料は出るのか?」
「月に30万だ。」
「やる。」
僕はこのWRBOに就職?することを即決した。