表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

HERO

作者: 神在月

 地球は謎の宇宙要塞の攻撃により滅亡の危機を迎えていた、地球を救うために最後の作戦が決行された。

 誰の目にも無謀だと思われた作戦だったが、チームの決死の努力によって、最後の一人を敵の心臓部に到達させることができた。

 

 ついに、敵の宇宙要塞の心臓部に到達した。

 出撃した時は3中隊36人いた仲間も、ここまでの戦闘で俺以外は全員いなくなった。

 俺も既に敵の宇宙人に包囲されている。

 ただ、ここは敵の心臓部なので攻撃できないと見え、手は出さない。

 俺が背負っている破壊兵器を起爆させたらこの宇宙要塞くらい軽く消し飛ぶ。

 ここで食い止めないと奴らはあと57分で地球を粉々にすると言っている。

 後はこの起爆スイッチを押すだけ……

  

 だが、これを押すと俺は死んじまうんだよな。

 ここまで来れたのも死にたくない一心で、いつも以上の動きができたからだ。

 正直、死にたくなかったので、何人かの仲間を見殺しにもした。

 それなのに、結局最後は死ぬのか。

 

 考えてみれば、作戦立案の時点で、生きて帰ることのできないプランだった。

 あの時は勢いで志願したんだが、今更ながらなんで志願したんだろう。

 何よりも死ぬのが嫌いな俺が、こんな作戦に乗るとは。


 奴らはここで投降すれば命は助けると言っている。

 だがそれを信じていいものか、それに俺が投稿したら地球が破壊されてしまう。

 たとえ奴らが約束を守って生き残っても、地球を破壊させたという負い目を感じで生きるのも忍びない気がする。

 

 が、しかし、やっぱり死ぬのは嫌だ。

 地球と俺の命、どちらが大切かと問われたら、俺の命なんだけど。

 地球がなくなっても困る。とは言っても軍隊バカの俺には地球には恋人どころか友達もいないし、両親は知らずに育ったし。

 そう思うと、命がけで守る必要があるのかって気もして来た。

 でもここで、投降したら裏切り者ってことにはなるんだろうな、死ぬことの次に人を騙すことが嫌いな俺にとっては、うらぎりものの汚名を着るってのも嫌だな。

 でも、地球がなくなったらそれで俺を責める人間もいなくなるってことか、いや人が責めなくても自分自身を責めるだろうな俺は。

 なんか死なずに地球を救う方法ってないのか……どうしても死にたく無い。



 ない、そんなうまい話はやっぱり無い。

 宇宙服の酸素も残り少なくなって来た、どうせ死ぬなら地球のために。

 この起爆スイッチを押せば痛いとか苦しいとか感じることなく、俺は消え去るんだろうこの宇宙要塞とともに。


「それでも、死にたく無いーーーー」


 彼の最後の叫びは、強烈な破壊力を持った反物質爆弾の炸裂にかき消され、誰の耳にも届くことはなかった。


 地球は救われた、彼らの命を賭した作戦により。

  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 最後の一部分だけ切り取って主人公の葛藤と決意を描いたところがよかったです! [気になる点] できれば第三の選択肢……みたいなものがあればよかったかも。 その選択肢は私には思いつけないんです…
2017/11/09 13:21 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ