元魔王様
俺は今、義肢を改造している。
何故義肢を改造しているかというと…俺が弱すぎてスライムにも勝てないからだ。
俺の手が義肢になったから攻撃力が上がると思ったのだが、そんなことはなかった。その証拠にスライムとの勝負は1勝4敗2引き分けという成績で負け越している。
そんなことから義肢を改造したのはいいが、どういうわけか喋る奇妙な義肢が出来上がってしまった。
(どうしたんです?旦那)
(お前をどうやって処分しようか考えていた)
(何でもしますから処分だけはしないでください)
俺の心の中に語りかけてくるのが俺の右腕についている義肢である。というか何故俺を旦那と呼ぶ。
(そう言えば、自己紹介がまだでしたね。俺はシヴァ、元魔王です)
(はぁ?元魔王?)
(そうですね、多分今から500年くらい前の魔王だと思うんですよね)
(仮にお前が元魔王様だとしよう。その元魔王様は何故俺の義肢になっている)
(そんなの簡単ですよ旦那。この義肢に俺のツノを使ったからですよ。)
あのツノはこいつのだったのか。てかじいちゃんなんでこんな物持ってんだ。というか俺にこんな物渡すなよ。
(そういうものなのか?)
(そうなんじゃないんですか。実際俺が復活したんですし)
(そうだな)
(それより旦那は激レアですね)
(当たり前だろ。こんなにもイケメンなんだぜ)
(旦那はイケメンじゃないですし、旦那自体はノーマル未満の価値しかないですよ。ってそうじゃなくてスキルの話ですよ)
ノーマル未満とか言いやがって、後で覚えてろよ。
(俺のスキルが分かるのか)
(まぁ、今は旦那の体の一部なんで。それ以外にステータスも見れますよ)
(見たら火炙りの刑だからな)
(大丈夫ですよ。俺は約束を守る男なんで)
さっきから気にはなっていたがこいつは元魔王なんだろ?そんな奴が何故普通の喋り方をしている。魔王と言ったらもっとこう偉そうな感じの喋り方だろ。
(ところで旦那、これからどうするんですか?)
(それは勿論、スライムにリベンジだな)
スライムに負け越してるんだ。このまま負けたままで終われるか。
(……旦那)
シヴァの呆れた声が聞こえたが気にせずスライムとの8回目の勝負をしに行った。
結果から言うと俺の圧勝だった。打撃が効きにくいはずのスライムにパンチ一発お見舞いしただけで跡形も無くなった。
(お前、チートだな)
(チート?チーズみたいなもんですか?)
(まぁ、そんなところだ。ところでシヴァはスキルとか持ってるのか?)
(そんなの自分で確かめてください)
(そんなことができるのか)
(知らなかったんですか。旦那のスキル、非戦闘の中には鑑定というスキルが入ってるんですよ)
(で、使い方は?)
(俺、鑑定のスキル持ってないから分からない)
(使えねぇな。本当に元魔王かよ)
(ステータス1の雑魚旦那にだけは言われたくないですよ。)
さっき約束は守るって言っておきながらすぐ破ったぞこいつ。シヴァの野郎は後で火炙りの刑だな。
とりあえず、俺の右腕の義肢をじっと見てみるとステータスが現れた。
シヴァ【義肢】
MP9999/9999
攻撃9999
魔力9999
スキル
全耐性
(全属性の魔法が効きづらくなる)
全魔法
(全ての魔法を使うことができる)
物だからかステータスが人とは少し違った。しかしどう見てもチートである。