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「……何にもないなぁ」


『聖女ミレミア、この木のそばで永遠(とわ)に眠る』


  石碑にはそう書かれている。いや、石碑では無くこれはお墓だ。絵本や昔話に語られる、この世界での伝説の人である聖女ミレミアのお墓だ。

  とりあえずその場にしゃがみ込み、両手を合わせて合掌し黙祷する。この世界での墓参りのやり方なんてわからないし、俺の知ってるやり方でも大丈夫だろう。


「ん?  なんだそりゃ」

「俺の故郷での、死者に対しての礼儀というか、墓参りの仕方というか。お墓を調べるんだからなんかやっとかないとバチが当たりそうじゃんか」

「そんなのがあんのか。でも半分遺跡みたいなもんだしなぁ。一応お前さんに習っておくとするかね」


  ルーカスはそう言うと俺の真似をして合掌をする。見れば他のみんなも同じ様にしていた。意外なのはポプリも同じ様にしていたことだ。戦闘狂の何も考えていないやつだと思ったら、こういう一面もあるんだな。

  一頻りそれも終わり、改めてミレミアの墓を見てみる。

  ところどころ朽ちかけてしまっていて、読み取れるのもさっきの一文だけだったりする。本来は他にも色々書いてある様だけれど、どうやっても読み取れはしない。


「墓石自体に意味はなさそうだな。かろうじて詩の一節が読み取れるから、そこまで意味はないだろう」

「うちはよくわからないからその辺り見回りしてるゾ」

「そうですね。私もアキナちゃんとルーカスにお任せします」


  ……ポプリはわかるけど、クリスさんも頭使う系は意外とダメなのかな……。

  とにかく、他に何か、元の世界に戻るための手がかりとか何かあるかもしれないし、色々と探ってみようと思う。

  とは言ったものの。


「……何にもないなぁ」

「もう何年も前に調べ尽くされた後だろうからな。さすがにこれで新発見があったら俺だって驚くわ」

「だよなぁ」


  調べてみようにも、すでにここに住むエルフや他の場所から来た研究者によって調べられてしまった後なのだ。今から何か見つけようという方が難しい。

  俺とルーカスで墓石を中心に見て回るものの、特にこれといって何かめぼしいものが見つかるわけでもない。ポプリとクリスさんはこの開けた場所の外側を見にいっててここにはいないし、フユはまたちょっと別の場所を見てもらいに行っている。モモは……まぁアテにしていないのでとりあえず放置で。

  どうにも手詰まりになってしまった俺は改めて世界樹を見上げる。広々とした草原に悠々と立つ大木。上を見上げども、そのてっぺんが見えることはない。根元の近くに行くとその葉に覆われて空すら見えなくなってしまう。離れれば木漏れ日が差し込むが、空が見えることはない。それほどまでに巨大な木なのだ。

 

「あれ、そんな大きな木だったら、街とかからでも嫌でも目につくはずだよな?」

「しょれは、この木が『魔法』を放っているからでしゅね。あ、後気にしていたものはみつけましたでしゅよ」


  すたっ、とフユが上空から降りて来る。世界樹の周りを見に行ってもらうようにお願いしたのだけれど、まさか上に登っているとは思わなかった。女神のくせに罰当たりというかなんというか。いや、むしろ女神だからこそなのだろうか。下界での伝説やら偉人相手でも、そもそも神なのだからフユの方が上位の存在と言えるだろう。今は犬耳幼女の姿だけれど。

  どうやら俺が探していたものも見つかってしまったらしい。ほぼほぼあると確信していたけれど、本当にあるとは思っていなかった。

  それよりも何かおかしなことを言っていたぞ?  木が魔法?


「魔法って、この世界じゃ基本的に魔法はなくて魔術なんじゃなかったのか?」


  俺がそう言うと、見回りを終えて戻ってきたのかクリスさんが口を挟む。


「いえ、魔法のスキルは無いわけじゃなくて、過去の勇者様が持っていたといいます。けれども、その1例のみでほとんどの方は【魔術】スキルしか持っていません。しかもそれも200年前の話なので、今ではほとんど伝説のスキル扱いですね」

「魔術もスキルなんだ」

「普通は魔術もスキルがないと使えません。魔道具もです。けれど、約10年前に誰でも使える魔道具を開発されたので、今はどこにでも魔道具が溢れているんですよ」


  そんな裏話があったのか……。

  ってその話は今は詳しくするべきじゃなくて、本題の方に戻らないと。俺は改めて、フユに世界樹が放っているという魔法のことを聞いてみる。


「姿を見えなくしゅるような魔法か……認識を逸らしゅような魔法でしゅかね。あまり見かけない魔法でしゅから、もしかしたら固有の特別な魔法かもしれないでしゅ」

「どんな魔法かまではわからないのか……」


  まぁそういう時こそ【鑑定】するべきなんだろうけど、というよりもした結果これ以上見てもしょうがなくなってしまったからこそ、別にやることができてしまった。

  俺は墓石から少し離れた位置に立ち尽くしていたモモに声をかける。この場所に着いた時から、モモは何か気が抜けたというか、心ここに在らずといった様子で立ち尽くしていた。俺たちも調査を先にしたから無視する形になってしまったけれど、モモにも聞きたいことはある。

  なんてったって、


ーーーーーー


  モモ    ドライアド


HP:8629/8629

力:751

防御:3549

魔力:8729

素早:371


  スキル

・聖魔術  A     ・木魔術  A

・擬態   B     ・下位統率  C


  称号

・世界樹の木妖精

・聖女の後継者

・隷属せし魔物


ーーーーーーーー


  ステータスに突っ込みたいところが多すぎるからだ。

  世界樹と【鑑定】の結果がほぼ同じになる彼女に、事情を聞かなければ。

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