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「じゃあ改めて着替えましょうか。下着はどちらがいいですか?」

※本日3話目になります。

※TS色の強い回となります。本編には影響しませんので苦手な方は読み飛ばしてください。


  のぼせそうになりながらフラフラと風呂場から出ると、クリスさんからタオルを渡される。

  身体を拭けということなのだろうが、それは自分でやるのか……。いや、決して拭いてもらえなかったのが残念だったわけではなくて、いや、ちょっと期待していた……というわけでもなくて!

  クリスさんはフユの身体を拭いていた。まぁ、今は子犬の姿だしいいんだけど。てか人型になれるんだから自分でやれよ駄女神。

  まぁフユのことは置いておき、まずは自分の身体を拭く。身体の方は元の身体より面積が減っているのでむしろ拭くのが楽……でもなかった。さすがに恥部を拭くのだけは緊張と躊躇いがあった。なんとかその試練は乗り越え第2の試練、髪の毛を拭き始める。

  あきなちゃんの髪の毛は肩を少し超えたあたり、肩甲骨の近くまで伸びたロングとは言えないけれどそこそこに長い髪だ。元の俺は、というよりも男でそこまで伸びているやつはそう多くはないと思う。例に漏れず俺もそうだったので、こう長い髪は拭きにくくて仕方がない。

  拭いても拭いても水滴が落ちてくることに四苦八苦していると、後ろからふわりと優しくタオルをかけられる。


「髪の毛はこうして、ぽんぽんと水気を落とすようにしていくといいですよ」


  クリスさんが俺の髪を優しく触り、水気を切っていく。まだ湿ってはいるが、先ほどよりは全然マシになってきた。

  そんな折に、脱衣場に備え付けられていたテーブルの前に座らされる。

  訝しんだ俺の頭に、温風が当てられる。これってまさか。


「……異世界にもドライヤーってあるんだ……」

「どらいやぁ?  あぁ、この【温風乾燥】の魔道具のことですか?」


  【温風乾燥】……あぁもうドライヤーでいいや。ドライヤーの魔道具は比較的新しい魔道具で火の魔術式と風の魔術式の複合術式で動いているらしい。2つの魔術で動く魔道具はとても希少で高価なものなのだそうだが、そんなものまであるとはさすがお金持ち。

  ぶおぉぉと温風が髪に当たり水気が飛んでいくのがわかる。……なんでぶおぉぉと音が出てるんだ?  魔法……いや魔術か。なんだから音なんてなくてもいいのに。

  しばらく当てられ、髪が乾いたところで魔道具の音が消える。


「さて、髪も乾きましたので服を着ましょうか」

「はいはい……ん?」


  クリスさんは服を着ると言った。あれ、俺の服ってどうなるんだ? 

  脱がされた服はどこにも見当たらない。服も、下着もどこにも見当たらない。


「元々着ていた服ならうちの使用人が洗濯していますよ?  ずぅっと同じものを着ていて、【浄化】をしていたとはいえ洗濯しないわけがないじゃないですか」


  ですよねー。


「じゃあ改めて着替えましょうか。下着はどちらがいいですか?」


  クリスさんが手に持つのは、俺の想像を遥かに超えるものだった。

  左手に持つのは一見すると半ズボンにも見えるが、ドロワーズという立派な女性用下着だ。あきなちゃんの変身時に、激しいアクションでスカートが翻っても安全な下着ということで採用されたものなので俺も知っていた。

  その一方で右手に持つのは紐パンだ。この世界にも現代のような女性用下着はあることはあるらしいのだが、ゴムー正確にはゴムではなく魔物の素材からできるゴムのようなものーが高級品らしく一般的には普及していない。それに紐パンだとヒップの大きささえ合えば調節もしやすいとこの世界ではメジャーな下着だった。

  俺はなぜこんなところで妙な二択を迫られなければならないのだろうか。

  思考を明後日に飛ばしていると、フユが念話で、クリスさんが迫りながら早く決めろと囃し立ててくる。

  迷った挙句俺はドロワーズを選択した。つい先ほどまであきなちゃん標準装備としてパンツを履いていたので説得力はないが、ドロワーズはズボンに近いため多少マシだと思ったからだ。

  自分で履けると断りを入れたが、クリスさんがかなりしつこく「わからないですよね?  ですよね?」と真に迫った様子で聞いてくるので面倒になって折れて、ドロワーズを履かせてもらっている。なんだこの新しい羞恥プレイ。


「よし、これでいいですよ。キツくないですか?」

「大丈夫。ありがたいですけど、もう覚えたので次からは自分で履きます」


  クリスさんは不満げな顔をするが、俺の意志は固い。というか、風呂だって本当は1人でゆっくりと入りたいものだ。あきなちゃんの裸を見るのは抵抗あるけれど、こんなことを毎回していたら精神が参ってしまう。だったらあきなちゃんの裸は諦めて1人で入る方がまだマシだ。

  ドロワーズは腰あたりで紐で調整するだけなので難しいことはない。というか、クリスさんが過保護すぎるというかなんというか……。俺だって一応大学生なのに。


「じゃあ次はこれを着ますよ」


  そういうクリスさんが手に持って着たのはドレス。

  何をどう見てもドレス。子ども用のドレスだ。女性が着るひらひらでふりふりのあれだ。

  どうやら、俺の受難はまだ始まったばかりらしい。

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