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魔界な人々

炎の蜥蜴な私と妖艶魔族なこの人

魔界な人々最新作です。

サラリと音がして目を開けると銀の糸の滝が視界一面に広がった。


「恋人との逢瀬に居眠りか? 」

冷たい中に甘さを含む声に寝とぼけた目を向けると綺麗な紫の目があった。

恋人なんかいたことないの。


「誰? 」

「イゼリアン……しらばっくれる気か? 」

男の声が危険に艶っぽくなった。

「イゼリアン……」

「そこまでして私から逃れたいか? 」

耳をなめられた。


誰? 知らない眠い……眠いの……眠いからねるの人違いなの。

私はお気に入りの岩の上で再び目をつぶった。



「夢? 」

気がつくとどっかのベッドの上で見動きが取れなくなっていた。

やっぱりなんかにつかまってる。

唯一動く目で横を見るとえらい麗しくも妖艶な白銀の長い髪に紫の目の男性がいた。


「イゼリアン」

「違う」

またあの人の関係なの〜私は心の中でため息をついた。

「イゼリアンそこまで私を嫌う」

「私は炎蜥蜴(サラマンダー)なの」

私はなんとか変化した。


しばらく蜥蜴生活なの、あの人ついに同性にてをだしたの? と思いながら。


驚いた様子の妖艶高位魔族のうでの中からするりと抜け出そうとしたところでしっぽを持たれた。


「お前は誰だ?」

「キュー……」

蜥蜴化すると喋れないの。

「ふざけてるのか? 」

手のひらサイズのサラマンダーに怒らないでなの。

「教えるまでそこにはいってろ」

「キューキュー」

ぽいっと放り込まれたのはモフモフしたものが敷かれた今の蜥蜴()サイズにピッタリの優美な鳥籠だった。


じっと美しい男性を見たあと丸まって寝に入った。

もともと活動出来る時間は短いの、それに一度この姿に戻ったら二三日(ニサンニチ)人化出来ないの。


どっちも『私』だけど……こっちの方が本性に近いの。


私……全然あの人と体型違うの……



「よく寝てたな」

鳥籠の向こうで紫の目が見てた。

いい匂いがする。

「キューキューキューキュー」

ごはん? ごはん? ごはん? なの?

私は柵にしがみついた。

「トカゲが何を食べるか知らんが」

そう言ってお皿に裂いた蒸した鶏肉とレタスとトマト小さく切ったパン盛られたのが置かれた。

パンにトマトとレタスと蒸鶏をはさんで食べた。

「キュー」

「美味しいか? 」

うっとりと目を細めると妖艶魔族が笑って小さいミルクピッチャーに水が入ったのを置いた。

「キュー」

抱えて飲むと指先で頭を撫でられた。


私は小さな小さな炎蜥蜴(サラマンダー)なの。

同族は人間より大きいものがたくさんいるの。


でも朱金の鱗と真紅の瞳はどの同族より目立つと評判なの。


人型があの人とよく似てるのは事情があるの。


大した事情じゃないの。


お腹いっぱいになったので仰向けに寝っ転がると今度はお腹を撫でられた。


ぷっくりお腹ってひどいの。



部屋の向こうから足音が聞こえる。

激しく扉が叩かれた。

「パルディアス!! 開けろ!! 」

来たようだなとつぶやいて妖艶魔族はまだお腹をなでてるの。

扉が破られるように開いた。


赤い髪の男性が飛び込んできた。

「不法侵入です」

護衛官らしい薄緑の竜人がさけんで

阻まれた赤い男性が叫んだ。


「リゼアリーエを返しやがれ! 」

「リゼアリーエというのか」

妖艶魔族がちらっと私をみた。

「キューキュー」

そうなのリゼアリーエというのと私は鳴いた。

「リゼアリーエはお前の何なんだ? 」

「俺の最愛の一人娘だ! 」

あの人が薄緑の竜人を押しのけてこっちに来た。


「キューキュー? 」

父娘ってバレてもいいの? お父様?

私は小首をかしげた。

「バカ! 可愛い娘が不味いというのに隠しておけるか〜 それに廃嫡大歓迎だ〜」

お父様が鳥籠に突進した。

「そこまです、イゼリアン様」

薄緑の竜人がムチをお父様の腕に絡みつかせた。

「お前に娘がいるとはな」

パルディアス様? がちらりとお父様をみて私を鳥籠からだした。

「こいつがいるから俺はあの家で頑張れるんだ」

だから返せ〜とお父様がムチを引っ張って護衛官が必死に押えた。

「事情を聞かせろ、お前の気配をまとった服を着ていた」

パルディアス様が手のひらの私の頭をなでて侍従にお茶の準備をするように命じてソファーに腰掛けた。


「それにはあのクソジジイとクソババアが……暴れないから離せ」

お父様が護衛官を睨みつけると薄緑の竜人はパルディアス様をみた。

パルディアス様がうなづくと無言でムチを解いて入り口の壁に立った。


お父様はどかっとソファーに腰掛けてパルディアス様を睨んだ。

パルディアス様が薄く笑うとお父様はため息をついた。


「こいつは……俺の唯一の恋人、中級炎蜥蜴(サラマンダー)のリアシアとの娘だ」

リアシアはもう滅しちまったがとお父様が寂しそうな顔をした。


うちの両親(クソども)のせいでとお父様が悪態をついた。


ご当主夫妻はお父様が中級魔族でも下級に近いお母様を正妻にしようとするのを許さず滅したらしい。

お父様はその頃大罪人が白地方で暴れていて赤地方にも来る可能性があるとかで地方軍で対策を練ってて帰ったら儚くなったのに私の卵を守るようにしていたお母様を見つけてしまったとか……


でも私なんとか産まれたの

そのダメージのせいでせっかく上級魔族なのに力が使えないの。


活動量が少ないのはそのせいなの。

炎蜥蜴になると数日戻れないのも力がうまく使えないからなの。


「可愛い格好をさせてやりたいんだがあいつらに気づかれると何をされるかわからねぇからな」

「つまり赤本家の当主夫妻はリゼアリーエがいらないんだな」

パルディアス様が私を顔の前まで持ってきた。

すみませんの 今クッキーたべてるの。

「ああ、こいつがほぼ王宮の俺の部屋にいることからもわかるだろう? 」

お父様が出された紅茶を飲み干した。

「下級人型魔族に産ませてもここまで純粋な炎属性上級魔族になるまい」

パルディアス様が私にき、キスしたの

「テメー父親の前で何しやがる〜」

「お前の醜聞は後継者から外されるためらしいがこの純粋な炎属性の娘がいる以上諦めないだろう」

その点、私は紅家(コウケ)の跡取りでなく魔王宮の高官なだけだしなとパルディアス様が私を抱きしめた。


あ、あのー潰れちゃうの。


「だから私がもらうぞ、慰謝料代わりに」

「テメー許すと思ってるのか〜」

お父様がいきりたって炎乱舞を出す前に護衛官が素早くシールドを張った。


arakune(アラクネ)の糸のデザイナーを呼べ」

「キューキューキューキュー」

お父様〜私、どうなっちゃうの?

私はパルディアス様の腕の中でピコピコ手を動かした。


「いずれ挨拶にうかがうと赤本家当主夫妻にでもつたえておいてくれ」

「リゼアリーエ、絶対に助けに来るからな〜こいつは加虐の貴公子……」

お父様が護衛官に押し出されたの。

かぎゃくのきこうしって何なの?


「気にせず食べろ」

美味しそうなフルーツタルトを小さく切って持たせてくれたの。

わーいなの。


モクモク食べてるとご用意できましたと声がかかったの。


「しばらくはここでシールドは最強設定にした」


玉虫色の天蓋ベッドのしたにふわふわなものがしかれた例の鳥籠が置かれて私はまた入れられたので寝るしかないとお腹出してねたの。

ふわふわした掛け布団がかけられたの。


「こちらの炎蜥蜴ちゃんのお洋服ですのね」

「ああ、人型も頼む」

気配を感じて目を開けると綺麗な金髪のお姉さんとパルディアス様がのぞいてたの。

「人型は見ないとできませんわ」

お姉さんの下半身は蜘蛛なの。

見上げるときゃー可愛いとお鼻をつつかれたの。


「人型は力をうまく流せば戻れるか? 」

「キューキューキューキューキューキュー」

力流すってどうやればいいの? 

私はキラキラした目でパルディアス様を見上げた。

「ちっちゃいのに上級魔族なのですね」

どんな娘になるのかしら?

蜘蛛のお姉さんが蜘蛛の一番前の腕を組んだの。


パルディアス様が私を出して手のひらに乗せたの。

力がお腹から送られて……なんかフワフワするの。


ソファーに下ろされると身体が熱いの。

溶けそうなの〜目を思わずつぶっちゃったの。


目を開けると視界が高くなってたの。



「……イゼリアンの服は似合わないな」

ダボついたシャツをまくられたの。

恥ずかしくて必死で押さえたの。


黒いシャツとズボンは汚れなくていいの。

袖と裾はいっぱいまくってるの。


だってお父様と共有なの。

定期的にお父様が着ないと気配が共有できないの。


「下着もイゼリアンのか? 」

「違う」

パルディアス様がすぐにでもまくりそうになったのお腹の前で手を組んだの。


パルディアス様がいずれと色っぽく笑った。


「朱金色の髪が綺麗ね……なんでそんなに短いのかしら」

「お父様……」

「まあ、酷い」

父親が切りましたのーと蜘蛛お姉さんが腕を突き上げた。


違うの〜お父様と同じ髪型じゃないと逃げられないの〜。


人型ってあんまりしゃべれないの。


「イゼリアンと同じなのか」

パルディアス様が私の肩までの髪を撫でたの。


お父様は本当はもっと切りたいのに私のせいで中途半端な長さなの。


お任せなさいお姉様が可愛くしてあげるわよー。

とお姉さんが人の手と蜘蛛の手をワキワキさせた。


「やっぱり銀が良いですわ」

ソファーの近くの広いところに立ってお姉さんに同色の模様がはいった銀の布を当てられたの。

パルディアス様の髪と同じ生地なの。

「それと同じ生地で蜥蜴時の正装は……」

「つぶれる」

パルディアス様が私を見たので首を振った。


人型でも重いの〜。


「妖精用の生地を使えばいいかしら」

蜘蛛のお姉さんが不思議なカバンからスケスケの生地を出したの。

「無理……の」

「もちろんアンダーもつけてつくりますわ」

蜘蛛のお姉さんの手に持った布にパルディアス様がみてお姉さんになにか耳打ちしたの。

「そちらはわかりましたわ」

お姉さんがうふふと私をみたの。

「装飾品の手配も頼む」

宝石岩(ジュエリーゴーン)にでも」

ああ任せたと私の頭の上で話が決まっていくのでソファーに寄りかかった。


眠気がおりてくる……

活動しすぎてるの。



気がつくとまた銀の髪の滝に絡まれてた。

椅子の上で蜥蜴状態でだきあげられてるみたいだ。

紫の瞳がけぶるまつげに囲まれて真剣に書類をみてるみたいなの。


気づかれる前に目をつぶったの。

暖かくてお父様よりちかくて気持ちいいの。



この出来損ない!

赤家のはみ出し者。

役立たず。


声が聞こえる……けなし声が。


赤い大きな魔人が炎を上げて威嚇しているの。

潰されそうなの……怖い、怖いの……。

お父様〜助けて〜。


温かい手が頭を撫でた。


お父様? お父様?


「震えていた」

綺麗な紫の目と視線があって私はしがみついた。

「キューキュー」

パルディアス様〜あったかいの〜。

「やっぱり蜥蜴語覚えるべきか? 」

美声がつぶやいた。


本当は私が鳴き声に力を乗せられれば聞こえるの。

でも乗せられないの……。


白地方の下級竜人なのに上級竜人並の力を秘めてる娘にお父様が力の秘密を探り入れたけど……


執着の貴公子とかいう白本家の坊っちゃんに撃退されたらしいの。


せっかく鍛冶屋のお兄ちゃんはめて企んだのに。

ってお父様がぼやいてたの。


「キューキューいっても私にはわからん、ごはんか? トイレか? 」

「キュー……」

違うの〜デリカしいがないの〜。


パルディアス様お綺麗なのにもてないわけなの〜。



ちっちゃい蜥蜴の手でパシパシ叩いたけど全くダメージなかったの。


いつの間にかパルディアス様のお仕事部屋に来てたみたいなの。

鳥籠に戻されたからふて寝したの。

フワフワ気持ちいいの。


ペン音がカリカリ聞こえるの。

お仕事のお邪魔しちゃダメなの。



石の床を歩くヒールの足音がする。


「あら嫌だ、本当にこんなもの飼ってますのね」

覚えのある声が聞こえて目を開けると赤本家のお父様の(叔母?)の一人がいた。

お父様より薄い赤い髪をした肉感的な美女とか言うらしい。

「当主夫妻にでも様子を見てこいと言われたか? 」

パルディアス様が不機嫌そうに(叔母?)をみたの。

「赤家の血をいれたければ私が参りますわ」

蠱惑的な笑みを浮かべて(叔母?)がしなだれかかった。

私の鳥籠の隙間から炎術で攻撃しようとしている。


あのー実は……

炎が鳥籠を覆い尽くした。


次の瞬間炎を消し去った。


「なっどういうこと? 」

(叔母?)が驚愕の眼差しを私に向けた。

「キューキューキューキュー」

実は防御力高いの。

力はあんまりつかえないの。

敷いてあったフワフワが焼失したの……

上級炎蜥蜴(ハイサラマンダー)に炎攻撃とは語るに落ちたな」

「そんなちびっ子のどこがいいんですの」

(叔母?)が胸が見えるような格好でパルディアス様を見上げた。

「淫魔に魅了(チャーム)をかけるとは力不足だ」

「な、なんのことですの? 」

パルディアス様が(叔母?)の顎をつかんで上を向かせた。

(叔母?)は目を泳がせた。


「キュー……」

そんなことよりフワフワが焼けちゃったの。

「布団か……」

パルディアス様は私を鳥籠からだした。


今度羊魔人から購うか……とパルディアス様が私に口付けたの。

わーいピンクがいいの〜フワフワピンク〜。


「このクソガキのどこがいいんですの! 」

(叔母?)が私のしっぽをつかんで叫びながら転移した。


くらくらするの……しっぽからてをはなしてなの。

見覚えある赤い空間に来ちゃったの。


「オルフィアン、その汚いものを連れ込まないで」

「だってお母様〜幻家のパルディアス様ったらこんなのとキスしたのよ〜」

真っ赤なくるくる巻き毛の美女が不快そうに私をいちべつしたの。

「加虐の貴公子は趣味が悪い……さすが淫魔の一族だけあるな」

美鬚の赤髪の壮年男性も見覚えあるの。


なんで赤本家ご当主の部屋にいるの〜。

滅されちゃうの~。


「ゴミは燃やすのが一番ですわ」

私はできませんでしたけどお二人はできますわよねと(叔母?)が当主夫妻に私をぶらーんと見せた。

「……こやつの防御は超上級魔族なみだ」

「氷漬けにしてもダメだったのよー」

氷の竜に大金を払って依頼した奥方が悔しそうに私を睨んだ。


うん、あの時は休眠状態になったの。



「だが……あの幻家の貴公子にゴミをわたして問題がおこる前にやらねば」

「可愛いイゼリアンが孝行息子に戻るようにね」

当主夫妻は仲が悪いくせに二人で力を合わせて炎を練り上げた。


私を巻き込まないでくださいと叫んで(叔母?)が私を空中に放り投げた。

そこに業火が襲いかかった。


熱い……熱い……熱いの。

でも……負けないの。


パルディアス様にフワフワのピンクの羊さん型のぬいぐるみ布団をいれてもらうのー。

そして添い寝してもらうの〜。


身体にまとわりつく炎に内側の力を解き放った。

眩しい光があたりをおおった。




「キューキュー」

「ピンクのフワフワーってお前はまったく」

スポーンと飛んでなれた手に収まったみたいだ。

赤本家の屋敷は見事に崩壊してた。


「キュー? 」

私のせい? なの? 私はパルディアス様の手のひらの上で小首をかしげた。

「お前のせいといえばそうだが……自業自得だな」

パルディアス様が私を懐に入れて立ち上がった人影に対峙した。


「良くも……うちを……」

赤い巻きげの壮年の美女がつぶやいた。

「蜥蜴ごときが生意気な……」

赤い壮年の髭男が腰を押さえながら立ち上がった。

「いやーん私のお気に入りの服がぁ」

ちょっとエロい格好の若い女が胸をおさえた。


「……それで? 」

パルディアス様が斜め上から三人を見た。

「蜥蜴なぞ燃え尽きてしまえ」

「そうよ」

壮年の男女は巨大化して炎の魔人にかわった。

髪や髭が炎になる。


『消え去れ〜』

二人の声が一つになって猛火が襲いかかった。

パルディアス様が燃えちゃうの〜。


私は思いっきり力を出して炎でシールドを作った。

ジリジリと焼かれていくのを感じた。


絶対に絶対に絶対に助けるの〜


「キュー」

私頑張るの〜

思いっきり泣いた。

「全く……」

銀の糸がさらりと辺りを覆った。


炎の魔人たちが銀の髪に捕まった。


『生意気な』

ジリジリと銀の髪が炎を上げていくのが見えた。


「力押しなど効かない」

髪から氷の壁が霧のように立ち上がった。

『幻影などきかぬ』

炎の魔人たちが笑った。


確かに幻影だけど……冷たいの。


「ただの幻影だと思うな」

氷の幻影が炎の魔人を閉じ込めた。

何だこの氷は……力が……

ひらひらとその上を雪の結晶が舞い降りた。


炎の魔人を封じ込めた銀の氷の檻に雪が積もった。


「お父様〜お母様〜」

(叔母?)が氷に向かって叫んだ。

「お父様、お母様じゃねー、これはなんだ!! 」

空間が歪みお父様(イゼリアン)が転移してきた。


「うるさい祖父母君(ご当主夫妻)を閉じ込めただけだ」

パルディアス様が私の頭を撫でた。

「相変わらず、本物を移す幻影はすごいな」

イゼリアンお父様は関心したように氷の柱を見た。

「お兄様は冷たいですわ」

「可愛い娘にがいなす者にお兄様と言われる筋合いはない」

お父様が(叔母?)を冷たく見た。

「ひどいわーこんな事をするなんて」

「お前らがいつもかわいいリゼアリーエにしていることじゃないか」

カミュラシアと違ってお前はこっちの味方だからなとお父様が(叔母?)を冷たく突き放して私のところへ来た。


カミュラシア叔母様は優しい味方なの〜よく可愛いぬいぐるみとか差し入れてくれて赤本家の人たちが近づいて来ると連れて逃げてくれるの。


「怪我はしてないか? 」

「キューキュー」

大丈夫なの。

「さあ、帰ろう」

お父様が手を差し出した。

私はパルディアス様の顔を見たの。


長かった銀の髪が半分以上こげてなくなってるの。


「キューキューキューキュー」

パルディアスと一緒にいたいの。

私はパルディアス様の指にしがみついた。

「リゼアリーエ……」

「キューキューキューキューキューキュー」

ピンクのフワフワの羊さんのぬいぐるみ買ってもらって一緒に寝るの〜。

「一緒にね、寝る〜この淫乱魔族〜」

「淫魔族だ、私は」

パルディアス様がピンクのフワフワ羊の掛け布団も購おうと私のお腹を撫でた。


うん、フワフワピンクの羊さんを抱きしめてパルディアス様の銀の髪の中で寝るの〜。


そういえば蜥蜴状態でも話が通じるの。


「力が少し使えるようになったみたいだな」

「キュー? 」

そうなの? 私は嬉しそうに笑うパルディアス様に連れられて部屋に戻った。


直前にわーカミュラシアに殺される〜ってお父様が騒いでたけど叔母様優しいの。


その後、氷から出された魔人夫妻は力を削がれたので引退してお父様が後を継いだの。


一緒に暮らそうってお父様がうるさいけど私はパルディアス様のものなの。

パルディアス様も私のものなの。


「フワフワ羊さん」

可愛いの~人型でしがみついてもまだ余るピンクの羊さんぬいぐるみをしっかりとだいて布団にもぐった。

だって……ネグリジェが……銀のすけすけなの〜

「リゼアリーエの方が可愛いぞ」

先に待ってたパルディアス様にぬいぐるみ取られて抱きしめられた。


枕元の鳥籠にも程よいサイズのピンクの羊さん布団とぬいぐるみがはいってる。


「抱き枕」

じゃないの〜

「可愛い抱き枕だ」

パルディアス様が甘く微笑んで私にキスしたの。


カミュラシア叔母様が殴り込んだりまだまだ赤分家の人がうるさいけど……パルディアス様と一緒だとおちつくから頑張るの。


「リゼアリーエを返しやがれ〜」

「いい加減諦めたらどうだ」

ため息をついてパルディアス様が起き上がった。


私は蜥蜴になって鳥籠に避難した。


「娘の夫を襲撃するな」

「まだ認めてねーぞ、この節操なし〜」

室内を炎と幻影の雪が吹き荒れたの。


防火されてる羊さんのぬいぐるみを抱いて応援するの。


「キューキュー」

パルディアス様頑張れなの〜

「可愛いね」

「お、おい〜娘に見捨てられた〜」

お父様が床に手をついたの。


「キューキューキューキュー」

見捨ててないの、選んだの。

「まったくうちの奥さんは……すぐに蜥蜴になりたがる」

パルディアス様が笑ったの。


炎蜥蜴が本性なの〜

私は幸せそうに羊のぬいぐるみに顔をうずめた。


あの日に捕まえてもらってよかったの。


「さあ、寝よう」

いつの間にかお父様が出されてたの。

パルディアス様が蜥蜴姿の私を出して抱きしめた。

幸せなの〜。


ピンクのフワフワの羊さんとパルディアス様に包まれてドキドキするけど……幸せなの〜。

私はパルディアス様の胸に丸まったの。

読んでいただきありがとうございます❤

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