第零章 懐かしい記憶
世界が酷く退屈だと思ったのは何時からだろう。
何も最初から思ってた訳じゃない。アニメやゲームみたいな娯楽も最初は面白いと感じたし、お師匠から教えてもらってた剣術もやり甲斐があった。
でも才能があったのかあっと言う間に全ての技を習得し、アニメも最近は同じような物ばかりで飽きちゃいました、あ!でもゲームはたまにやってますよ?
ま、何が言いたいのかと言うと。
「退屈だ!退屈だ!何か面白い事ないかなー!」
と言いながらベッドに勢い良く飛び込んだ。
「退屈だ!退屈だ!退屈で死にそうだ!、もう何でもいいから面白い事ないかなー!」
と、うつ伏せになりながら足をバタバタさせているのは、まだ幼さを残した少女だった。
魂が抜け切ったような間抜けな顔のまま枕に顔を埋めて、足をバタバタさせている。
「......そう簡単に面白い事あったら苦労してないよなぁ、はぁー」
バタバタさせて足を止め、埋めていた枕から顔を上げ、ため息を漏らしている。
まだ幼さが残っているもののととのった顔立ち、腰まで伸びたウェーブのかかったプラチナブロンド、クリッとした碧眼、街中を歩けば10人中10人が振り向きそうな美少女いや!、超絶美少女がいた!。
だがいまだに間抜けな顔をしながらベッドの上でクルクルと回っていた。
彼女の名前は篠宮雪之一応高校生だが周りからは中学生か小学生に見えてもおかしくない。
「雪姉! さっきからバンバンうるさい! ちょっと静かにしてよ!」
と言いながらノックもせずに扉蹴って入ってきた。雪之と同じ様な顔立ちをしていたが、目は少しつり目気味の黒、髪もショートの黒髪で、少し強気な印象を受けた。
「ひぃぃ! ごめんなさい那月ちゃん って! 雪姉じゃなくて雪兄でしょ!」
男! ......どうやら彼女じゃなくて彼の様だ。
「なぁにがひぃぃっよ! 大体そんな可愛い顔して誰が雪姉の事男と思うのよ!」
ドンドンと詰め寄ってきた妹に僕は思わず後ずさってしまう。
「そ、それでも僕は男だもん! 昨日だってクラスのみんなに『雪之は男の子だね』って言われたもん!」
それを聞いた那月は、さっきまで怒ってた顔より打って変わり呆れたと言いたそうな顔になった。
「雪姉...それ本気で言ってんの?」
「? 本気も何も事実ですよ?」
「はぁ、いい雪姉、多分雪姉のクラスのみんなが言っているのは『男の子』じゃなくて『男の娘』だと思うんだけど」
「......マジ?」
(こくり)
呆れた顔のまま静かに頷いた。
確かに今まで何かおかしいなとは思ってたよ、学校でトイレに行った時はみんな顔赤くして早足で出て行ったり、体育で着替える時も何故か僕だけ空き教室で着替えさせられたりしましたがまさかこう言う事だったとは。
「っま、そんな事はどうでもいいのよ、さっきから雪姉何部屋でバンバンさせてんのよ」
「僕の事はどうでもいいんですか! ......最近やる事が無くてですね、退屈だ! って暴れてたんですよ」
「退屈って、雪姉つい最近ゲーム買ったばっかりじゃなかったけ?」
ゲーム? ...っあ! 買ったね3週間前ぐらいに、親友が新しく出た中で最高に面白いとか言ってくるんで勢いで買っちゃったやつが。
「確かに買いましたけどもう大方クリアしました」
「早! あれってそんなに早くクリアできるもんなの?」
「出来るんじゃないですか?、僕みたいに買った日からずっと徹夜やってたら」
と言っていると一階から僕たちを呼ぶ声がした。
「二人ともご飯できたぞ~」
「ご飯だって雪姉、話はまた今度ね」
「そうですね、話してたら僕お腹へっちゃいました、あと雪兄です」
二人は部屋を後にし急いで階段を駆け降りた。
「で、さっきから何言い争ってたんだ?」
聞いてきたのは僕と那月ちゃんの父親である篠宮諒貴、家にお母さんがいない間家事をこなしている主夫、男の割には背が小さく女顔の為、近所では男と思われていないらしい。
ちなみにお母さんは仕事で世界中飛び回っているがどんな仕事をしているのか教えてくれない。
「別に何もありませんよ?」
「雪姉が退屈!何か面白いこと無いのかって暴れてたの」
お父さんは皿にカレーを盛りつけながら笑っていた。
「雪お前、お母さんみたいなこと言うんだな」
っと言ってきた。
「そんなことよりあっくん、お腹がすきました」
「誰があっくんだ! 父親をそんな呼び方で呼ぶな!」
頭を叩かれた、地味に痛い!
「早く食べよ、私もお腹すいた」
すかさず那月ちゃんが助け舟を出してくれました。
全員食卓につき他愛の無い話をしながらご飯を食べリビングでテレビを見ながら寛いでいると那月ちゃんが
「雪姉さっきのゲームの話だけどさ、なんか大型アップデート?って奴があるらしいよ」
大型アップデート!何だか面白そうな予感がしますね!・・・・・ん?
「何で那月ちゃんがそんなこと知っているんですか?」
「雪姉テレビ見てないの?、最近そのCMばっかりやってるわよ」
それは見落としてました、そうとなれば情報収集からはじめないとですね
「那月ちゃん、それ何時かわかりますか?」
「確か今日だったと思うわよ」
・・・・・今日?
「今日ですとーーーーーーーーー!!!!」
こうしちゃいられません!、早くゲームを起動して戦に備えなくては!
「ありがとう那月ちゃん!、僕早速やってきますね」
「はいはいいってらっしゃい、私はお風呂は言ってくるから」
手を振りながら奥えと消えてった
僕は階段を一気に駆け上がり部屋に入ると、すかさずPCとゲーム機の電源を入れた。
今更ながら僕のやっているゲームは『Battle of the Gods』略して『BOTG』はVRMMORPGのゲームで、四つの大陸に別れエルフ、ドワーフ、龍人、獣人、天使、人など数え切れないほどの種族と豊富なスキル、モンスター、武器などで神々の試練に挑むと言う設定らしい。
なんで色々と豊富なのにそんなに早くクリアできたかって?。
徹夜でやってたのもありますがやはり最初に引いた種族がチート過ぎたからだろう。
種族は自分で選ぶことはできない。ゲームのチュートリアルが終わるとランダムで選ばれてから、一番最初の神殿に転移されます。
種族にもレアリティが存在します。
そのレアの中でももっとも高いのは『神』。
その神を引き当てたのはこの僕! (ドヤァ) このゲームの中では僕を含めて四人しか存在しません。
因みに唯一神が天使を神に昇格させたと言う設定らしい。
ともあれそのチート種族のおかげで早くクリアしてしまった訳ですよ。
余談ですが初期設定時体中スキャンされそれをもとにアバターが作成されるのでネカマはできないし、アカウントに生体データが入ってあるのでリセマラと言った行為もできない。
アップデート更新間に今回のネットで色々調べた。
「えーなになに、今回のアップデートの内容は......大型ダンジョンの実装か」
てことで今回の大型アップデートの内容は大型ダンジョン『神々の塔』の実装でした。
全10層からなるダンジョンで1層ごとに守護者が存在し、一番早くクリアした先着1名のプレイヤーにレアアイテムや守護者を使役できるクリスタルがもらえるやしいです。俗に言うボスラッシュですね。
「ほうほう、これは腕が鳴りますね」
と言ってる間にアップデートが更新し終わったのでVRヘットギアを装着し電源をオンにする。
「それでは行くとしますか!」
まだ書き始めたばかりなので探りながら書いていきたいと思います。
なお作者は豆腐メンタル、ガラスのハートなので批判等はご遠慮くださいよろしくお願いします。
意見、ご感想等は有難く読ませていただきます。