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テスト

作者: 大森 春近

俺の名前は真鍋 孝明

城下町高校に通っている二年生だ


一週間前から中間テストのテスト週間に入ったことで部活動も休みになっている

そして、いよいよ今日が中間テストの初日になるのだがそのトップバッターを務める教科が苦手な英語ということでただでさえ低いテンションが底にめり込みそうになっている


教室の席に座りながら周りを眺めると皆、教科書やノートを開き最後の確認作業に入っているが俺はそれすらする気が起きない状態である


「ずいぶん余裕そうだな」


などと声をかけられるが実際は諦めの境地に入っているだけだったりする


少し前まで俺は理系をとるから英語ができなくてもかまわないなどと思っていたのだが

そのことを大学生の兄に話したところ


「大学の研究で参考にする論文はほとんど英語だからできないと話にならないぞ」


と言われ地味にショックを受けたものだ

英語が苦手になる前に教えて欲しかった

まあ、何も変わらなかったと思うけれど………


教室に先生が入ってきたことでクラスメイト達は机の上を片付け始めた

用紙が配られ時間どうりに英語のテストは開始された


俺はざっと問題を見て…よし、わからん

なんかもう帰りたくなってきた


なにも書かないわけにはいかないので必死で埋めたがそれでも空白が目立つ

見直しも終わらせ時計を見るがだいぶ時間が余ってしまった

残りの時間は寝ようかなと思いながら用紙を裏返し


「おっと」


裏側にまだ問題が残っていることに気がついた

危ない危ない[ボーナス問題]と書かれたそれをうっかり見落とす所だった

なになに


『I love you』の日本語訳を50個書け


はぁ…

ちょっと意味がわからない

なんで50個も…問題の作り間違いかなとも思ったがこの『50個』というのが無ければあまりに簡単すぎる

いくら[ボーナス問題]といってもそれは無いだろう

時間はたっぷりと余っていることだし、じっくりと考えてみよう



全教科の中間テストが終わりすでに返却がはじまっている

今から返ってくるのは英語だ…ああ、憂鬱だ

テストを返す前に先生が


「英語のテストは名前を書いてない奴が3人もいたぞ」


と言った

最初のテストだったから皆緊張でもしてたのかな?

俺はどうだったかなと思い出そうとしていると


「3人とも90点以上、内1人は100点なんだが…誰か心当たりがある奴はいないのか」


うん、違うな

俺の英語のテストは半分取れていれば良いほうだろうしな

早々に興味を無くし先生の話を聞き流し始めた


「━━━テストが100点の奴は最終問題の解答には、『あなたの事が好きです』『好きだ』『あなたの事が大好きです』『大好きだ』『あなたの事を愛しています』『愛している』『あなたは最愛の人です』…」


んんっ!!


「『親愛なるあなたへ』『結婚しよう』『死ぬまで一緒にいよう』『一生傍にいたい』『付き合って欲しい』『キスをしよう』『あなたに出会えてよかった』『あなたに尽くします』『私の全てをあなたに』『あなたが欲しい』…」


ぎぃゃゃゃゃぁぁぁー


ガタタンッと勢いよく立ち上がり俺のと思われる解答用紙を取りにいく


「ああ、真鍋だったか。この最終問題の解答が気に入ったから特別に100点にしておいたぞ。50個も書けたのはお前だけだったしな」


どうやらこの解答の仕方であっていたらしい

まあ他に書きようが無かったわけだが

そんな事より恥ずかしすぎる

英語のテスト100点という喜ばしい結果なのに黒歴史入り決定だろう

席に戻ってもクラスメイトの視線が俺に向けられている気がする…気のせいだ…絶対気のせいだ…



後日、先生に何故あのような[ボーナス問題]を作ったのか聞いてみた所


「同じ言葉でもどんな場面で使うかによって意味が変わってくる。辞書に載っている意味が全てでないという事を皆に分かって欲しかった」


ということらしい


しかし、『I love you』という言葉を選んだのは本当にそれだけが理由だったのだろうか?




テスト投稿ということでテストを題材に書いてみました

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