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殺し屋、始めました。  作者: カピバラ
モノクロ
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ぶつかり合う怪物達



熊谷組本部前。当の熊谷は血まみれに倒れ、夏川シリーズ……正義の味方からはシロなどと呼ばれるクローンは道路の脇で伸びていた。そしてクロネコは電柱の先端に引っかかり身動きがとれずにいた。



 (なん、なんや……あれ……?)



クロの視線の先に二人の怪物が対峙していた。両者とも冗談でさえ挑むことが命取りになる現代に生きる怪物。


片や、人の手により生まれた最高傑作の能力者。ヒーロー同様精神状態を具現化させる力を持つ。

片や、極めて原始的に進化し、限界を追求し、人体全てが人類の完成形まで達してしまった猛獣。



 「磁石みたいなものよね。対極であるものはその力が大きければ大きいほど惹かれあう。だからこそ人生とは面白いものよねぇ」


 「意味わかんねぇな。人生なんてただの時間の浪費。暇つぶしにすらなんねぇんだよ」


 「そう? 一度っきりの人生よ? 楽しんだっていいじゃない。こ、う、や、っ、て、さ!!」



ヒュオーッ! とノバラの体が浮き上がった。かと、思うと既に夏川の懐にまで到達していた。拳を握り、眉間目掛けて。



 「……?」


 「あぁ……そうかそうか。無能力者か、それとも低レベルなのか? どっちとしても俺のすることは変わらないけどな」


地面は捲れがる。りんごの皮でも剥くように。アスファルトごとノバラを吹き飛ばした。その翼で。一方ノバラはジャンプしいともたやすく攻撃の魔の手から避ける。対空したまま身体を捻り、唸らせ着地した瞬間側転でもするように夏川に迫っていった。得体の知れない移動法に夏川はほんの少しだけ動きが止まる。当然、それを見逃すほど甘くもない。



 「が、ああああああッ!?」



回し蹴り。首を狙った一撃。それは夏川の身体……厳密には夏川を囲む『黒』に衝突した。ノバラの足は直角に曲がってしまっていた。



 「ま、だ、ま、だ。よねぇっ!! 限界はこんなものじゃない。もっと――ッ」


 「黙ってろよ」



目を潰した。じゃんけんなんかで使うチョキ。遊びなんかでする目潰し。水っぽい音を追うようにさらに追撃。顎を掴み歯を全部折り、鼻をひしゃげて肋骨を叩き折る。



 「これで……満足か?」


 「なん……なの……それは……。なんて……理不尽……。なんて……限界……」


 「あっそう。どうでもいいや、うん。邪魔だから死んでいいよ」



即断即決。有言実行。コウモリを模した翼はノバラの内蔵を絡ませながら胴体を貫通していった。怪物対怪物。あまりにもあっさりしすぎていて。つまらないショートムービーのようで。だからこそ夏川の格の違いと言うものを見せつけられた。ともあれ、夏川の標的は変わる。正確には『元に戻る』か。



 「キング……だなんて呼ばれてるみたいだけどさぁ……所詮は偽物なんだぜ。どう思う? 可哀想だよな。俺に同情しろよ。こんな出来損ないが俺のクローンだなんて世界は残酷だよな。あぁ!?」



シロに近づき、蹴りつける。何度も何度も。



 「ユリもお前が殺したんだって? なんとか言えよ。人様の大事な妹殺しましたって。死んで償いますって。ま、殺してやんないけどさ」



何度も。何度も。



 「俺をこんなにしやがって。俺をこんなに歪ませやがって。全部全部全部お前のせいだ。許さない。許してもらえると思うなよ。許してくださいだなんて謝んなよ。地球の酸素が無駄に消費されるんだから」



何度も。何度も。途中、赤いヒーロースーツの男とカゲナシと軽薄野郎と黒髪の女がやってきたが適当に翼であしらった。ヒーロースーツは少し手間どったが、無事に全員床にこぼしたケチャップみたいになってしまった。



 「はぁあああああ……収まんねぇ」



舌なめずりをしながら



 「地球サマの酸素をお前にわざわざ使わせて頂くのも癪だが俺の顔に免じて許してやるよ。……せいぜい俺の人生の暇つぶしになってくれよ?」



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