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夏川ツバキ⑤
その頃、ホタルは同じビル内の誰もいない廊下を歩いていた。
(さっきから発砲音がするな……あの二人しくじったか?)
チッ、と舌打ちをしてホタルは階段を上がっていく。
(正直あの二人が死のうとどうでもいいが、例のデータを別の場所に持って行かられるのはまずいな……)
ホタルはケータイを開き、今回の作戦のメンバー。東城からは『天才』と呼ばれていた少年に電話をかける。
「そちらの調子はどうだ?」
『どうだっていわれても……ボクのほんぎょうは狙撃なんだからさぁ……』
「駄々をこねるな」
『はーい。でさでさ、あの素人二人はどうなった?』
ホタルはひと呼吸おいて
「一人はビビって叫び回って後に死亡。もう一人の夏川というやつは能力者と戦闘中だ」
『ふ~ん。ちゃんとかく乱してんじゃん。っていうか対能力者は東城じゃなかったの?』
「知るか」
『っていうか能力者とせんとうちゅうってしんじんにはきついんじゃない?ビビってころんで死ぬ気がするんだけど』
まぁ、とホタルはもう一度間を開けて
「須王さんのお気に入りだ。そう簡単に死にはしないだろう」