生還①
瞼の奥が熱い。開いて見れば光が差し込み視界を真っ白に染め上げていく。頭がくらくらとなる。嫌な感じだ。匂いや、雰囲気からここが病院の一室だとはわかった。
誰かが目の前にいる。光のせいでシルエットしか見えないが、話し声でなんとなく察しはついた。
「鈴科……と、アザミさん……?」
「お、起きたか」
「夏川くん!!」
がしっと肩を掴まれる。正直邪魔だが、なんとなく人の温かみってものを感じたから良しとしよう。鈴科は目尻に涙を浮かべながら、またぎこちない笑顔で笑う。最近は笑顔がうまくなってきた気がする。
心底嬉しそうな笑顔に釣られて黒髪の彼も思わず微笑んでしまった。
「はは……俺も嬉しいよ。俺のために泣いてくれる人がいるってのはさ」
「よかった……本当によかった……!」
泣きじゃくる鈴科を横目に須王が手にレポートを持つ。
「夏川君、おめでとう。君の生き残ったのはこれが原因のようだ」
動けない彼の目の前にレポートを近づける。
「火事場の馬鹿力ってものかな。能力が開花し、この倒壊から逃れたようだ」
「俺が……能力を…………?」
複雑な表情で一応はにかんでおく。
これは喜んでいいものなのか。前に一度考えたことがある。東城や、黒崎。そして鈴科といった能力者が彼のを取り巻いている。圧倒的な力や存在感を放ち、能力の質とは関係なく恐れられる。拳銃をも打ち砕くほどの強大な力。そんなものが自分に宿った。
喜んでいいものなのか。鈴科のような人生にはならないのだろうか。ユリへと危害はないのだろうか。
能力者になるということは、こちらの世界ではチカラを得るのと同時に幸せを失ってしまうのではないだろうか。
「……」
「ヒカリの科学班の解析により君の能力は『他人との感覚の共有』とわかった。発動キーは対象の頭に触ることだな。共有といっても君の方がいくらか優位に立てるようだが……その辺りは自分で確認してくれ。報告は以上だ」
レポートをテーブルに置いて部屋を鈴科を連れ部屋を出て行く。鈴科が出て行く時慌てて何かをレポートの上に置いていった。
レポートを手に取る。じっと眺めながら一つ疑問が浮上した。
感覚を共有するなんて能力でデパートの倒壊を防げるのか?
考える中でふと、気づいた。
「右腕が……ある……!?」




