VSテロリスト④
「……ぐぁ……」
アナウンス室のある3階の物陰。正確には婦人服売り場内にしゃがみ込んでいた。陳列された服のおかげで死角的にはバレることはない。
しかし、夏川の右肩から流れる血の匂いが充満してしまっていた。
DOAの間を通り抜ける時に適当に乱射されたものが直撃していた。乱射されていたのでおそらくDOA達もただでは済まないことだろう。
当たったのは一発。たった一発の弾で血が止めどなく溢れてしまっている。ジャージに少しずつ血が染み始めていた。
「深傷を負ってるやつに攻撃するのは俺の正義じゃないんだが……」
意識の外から、急に声が聞こえた。東城が立ち上がり婦人服売り場の外に目を向けると、自称ヒーローが悠々と立っていた。
「君達が『クロネコ』だなんて名乗るから俺はここに来てみたんだけど……やっぱり情に流されちゃうな、ヒーローとしてはさ」
「俺達が……『クロネコ』だって……!?」
東城が狼狽える。
「逆だ。俺達は『クロネコ』を倒しに来たんだよ。それをオマエが邪魔したんだろうがッ!!」
「…………え?」
自称ヒーローの動きが、止まった。
しばらくの時間の後、自称ヒーローはDOAのいる後ろを向き親指を立てた。
「すまん、俺の早とちりだった」
「この……っ!?」
「……こんなもので償えるものかは分からないがやらせてくれ。あの軍隊みたいな奴らは俺がやろう。君らは逃げるなりなんなり好きにしてくれ」
それだけ言って、ヒーローは階段へと走っていった。
「次あったら……あの野郎のヒーロースーツ剥いでやる……」
「落ち着け。今はすることがあんだろ」
「わかってる……アナウンス室へ急ごう」




