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鈴科ラン⑦
自分は最悪な人間だ、と鈴科は常々思う。
自分は全ての人間を不幸にする人間だ。
全ての人間をバッドエンドへと導く、邪悪な存在だ。
そんなことはわかっていた。それでも死ぬ勇気はなかった。
すがっていたのだ。まだ、自分にはハッピーエンドを狙えるんじゃないかと。
甘かった。
そんなこと願っちゃダメだって、わかってたことだったのに。
もう、終わりにしようと、決心した。
そのはずだった。
それを一筋の光が邪魔をした。
ドアをこじ開け、笑みを浮かべながら彼は――ヒーローは、やってきた。
来て欲しくなかった。少しでも希望を持ってしまった。
それに彼みたいなヒーローは私にはもったいない。もっと、可憐で美しいヒロインがお似合いだ。
私みたいな通行人Aにはもったいない。
だから、手放した。彼をこの一連の事件的にはバッドエンドにした。戦線離脱。望んでいた結果だった。
それなのに、悲しかった。望んでいたはずなのに。矛盾する心が揺れた。
ヒーローはもう必要ないのに。
何故、ヒーローを望んでしまうのだろう。
――そして、もう一度ヒーローは君臨する。可憐で弱いヒロインのために。




