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争奪戦⑦



 「ユリ、今からお兄ちゃんお仕事だから宿題して早く寝るんだぞ?」


 「うんっ。きょうのごはんはー?」


 「なんとっ!ハンバーグだ!!」


 「おぉ!さすがぁ」


 「ちゃんと食べろよ」


 「はーい」



自室でユリに夕飯を作り、エプロンを外す。須王からは楽屋で待てと言われたが、それに従っているのは黒崎ぐらいだろう。割と真面目なホタルまでもコンビニに出かけていた。



須王の仕事が終わらないと何もできない。それなら何かするべきだろうとの全体の意見だった。


黒崎はもごもご文句を言いつつ、結局は須王の指令に従っている辺り完璧な犬なんだなぁというのが夏川の感想だった。



コンココン、と不自然なリズムのノックが聞こえた。




紛れもない、仕事の合図だ。




小さな頭を優しく撫でる。さらさらとした髪が少しだけ乱れる。髪の隙間から純粋で汚れのない、自分に向けられるのにはもったいないほどの目が見えた。




 「それじゃ行ってくるからな」


 「うん。無理しないでね」


 「あぁ、早く帰ってくるよ」



そう言って夏川は立ち上がった。玄関まで歩き、靴をはく。そして楽屋へと向かう。






楽屋には黒崎がいた。銃の手入れをしているのか、夏川には目もくれない。しかし話しかけてくれるぐらいはしてくれるそうだ。



 「おまえらさぁ、アザミさんのいうこときけよな」


 「はぁ?お前が聞きすぎなんだよ、忠犬ハチでもそこまできかねぇよ」


 「ひとを犬といっしょにするなよ」


 「つーかあれ?須王さんに何かしらの感情を抱いてるとか?」



冗談が本気の反応で返された。具体的には頭の隣を銃弾が飛んでいった。



 「……たたたしかにそんけいはしてるけどそんな感情は……」


 「はいはい。わかったわかった」



あんまり言い過ぎると本気で殺されるため、ここでやめておく。ぶっちゃけ戦闘レベルでビビっている。後悔しかしていない。



顔を赤らめて黒崎はケータイを開く。



 「アザミさんからメールがきた。どうやらみなみのはホテルにいるらしい」


 「ホテル?」


 「うん。おかねもちさんたちがあつまるとこね」


 「そ、そんなとこがあるのか……」



元貧乏学生夏川にはいまいちよくわからない世界だ。とりあえず高いホテルと覚えておく。



 「で、俺は何したらいいの?」


 「そのホテルにいってこいだって」





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