争奪戦⑤
「アザミさん」
『なんだ』
「……これは流石に……まずいんじゃないんですか!?」
ホタル班、そして夏川が須王の命令により南野から脱出した後、黒崎が南野邸に放火をした。
ものの数分であれだけの豪邸がなくなる。そんな光景は心臓に悪かった。まるで自分の命を見ているようで。
『黒崎の連絡では死体を見たところ全員が殺しの傭兵だった』
「それってつまりここには最初から南野どころか鈴科すらいなかったってことですか?」
『いいや、恐らく逃げられたな。運悪く』
妙だ。夏川はともかく他のメンバーはプロだ。もちろん追跡班も含めて。そんな人達からたまたま逃げ切るほどの実力をあるものが南野側にはいるのだろうか。
傭兵だらけの南野側に。
知っている。
夏川は知っている。
このプロ達からたまたま逃げきれるほどのチカラを持つものを。
「鈴科ぁ……!!」
ケータイが軋む音がする。自分で思っているよりもイラついているみたいだ。
『ひとまず鈴科の場所を確認しなくてはな。南野は私に任せろ』
「はい。……鈴科はどうしましょう」
『……そうだな。一度楽屋に戻って待機しといてくれ。私がどうにかしよう』
「何から何まですいません」
そこで通話は切れた。そして須王の伝言をアザミ班に伝える。
全焼した南野邸をあとにして全員が楽屋へと戻る。




