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争奪戦①





 「クソクソクソッ!」



鈴科を取り逃してすぐ。夏川、黒崎、東城らは夏川の部屋に集結していた。イラつく東城がゴミ箱を蹴飛ばすが何も得られない。夏川が軽く頭を叩くが、東城の怒りは収まらない。



 「何なんだよアイツは!?」


 「……落ち着けよ。今、追跡部隊が鈴科を追ってるんだ」


 「オマエはなんでそんなに落ち着いてられるんだ!?俺らは裏切られたんだぞ!」



その言葉に黒崎が嘲笑する。彼としては珍しく感情を抑えられなかったようだ。



 「おもっしろいこというなぁ、とうじょうは」


 「あぁ!?」


 「何おこってんのさ。うらぎりなんてあたりまえじゃん。そんなことにおこってたらこっちがわでやってけないよ?」


 「うるせぇんだよ!!根暗クズ!」


 「お前がうるさい、東城。この部屋俺のだぞ」



再度頭を叩く。えらく落ち着く夏川がようやく口を開いた。



 「鈴科の思惑は、なんとなくわかるよ」


 「はぁ?」



東城の目がギラリと夏川を捉える。



 「アイツは……俺達を守ろうとしたんじゃないのか?」


 「……はぁ――ッ!?どこをどう見たらそうなるんだよ!」


 「……うまく説明はできないけど……アイツを取り巻く環境から俺達を逃がしたって感じじゃないかって思うんだ」



意味のわからないという表情の東城に夏川は補足をする。



 「アイツ、連れ去られる前に笑ってありがとうって言ったんだ。聞こえなかったけど確かに口はそう動いていたんだ」


 「……」


 「そんな奴が俺らを裏切るわけがない。アイツはアイツなりに俺達を守ろうとしたんだ。……自分が振りまく不幸から」


 「バカかテメェは。なんの根拠でそんなこと言ってんだよ!」


 「全部仮説だ。それでも俺はその仮説を信じたいって言ってんだ!!」



叫び合う二人をしらけた目で見る黒崎のケータイにメールが入った。その差出人を見た瞬間はやや笑顔だったが、本文を見た瞬間嫌な顔をしてため息をはいた。



 「おふたりさん。アザミさんからのめいれい」



 「アザミはん、ぜんこうせいいんに告ぐ。死んでもすずしなをだっかんしろだってさ」


 「……」


 「……」



黙る二人。


それを見てまた黒崎は笑った。



 「こんきょとかうらぎりとか。いまはそういう問題じゃない。アザミさんからのめいれいだ。いそげ」


 「……」


 「……」


 「それじゃ、言い方をかえようか」



手で銃の形を作って夏川の頭を指差す。



 「すずしながなにかんがえてるのか、こたえあわせにいこっか」



夏川は頷き、東城も渋々といった表情で立ち上がる。


ピピピ、とケータイにデータが送られてきた。そこには地図と赤い点がある。鈴科が今いる場所なのだろう。



準備は終わった。



後は答え合わせだけだ。





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