長浜美紀4
彼女が来てからというもの、店の売り上げはうなぎ登りだった。彼女目当ての客に加え、タイミングが会わない客が他の子を指名する事があるのだ。そこから、彼女以外の子を目当てにくる客も増えていった。
「ミキちゃんが来てくれてから、店にも活気がでて助かってるよ」
「いえいえ、そんな事ありませんて。働いてる皆さんが頑張っているからですって」
「謙虚だね〜、じゃあさこの後空いてる??お礼って訳じゃないけど飲みに行かない?奢るからさ」
そういうと、ミキは一瞬目を輝かせると
「行きましょう!行きましょう!」
と言った。俺は仕事が終わると彼女を連れて、夜遅くまでやっているBARに連れていった。無論メリッサではない、その手の趣味があると思われるのはさすがに困る。しかし、ここは少しばかり高いのが難点だ。彼女は最初は少し遠慮していたが、少しづつ飲み始めた。
「えっ、副店長さん29なんですか!?もっとうえかと思ってました。いえ、別に老けてるとかじゃなくて若いのに凄いですよね。でも、私こんなのところでなにしてんでしょうね」
彼女はお酒が入ると突然饒舌になり、ずっと喋っていた。それに加え、ガンガン酒を飲んで行くのである。しかも、強いのばかり。
「そんなに飲むと……」
「うるひゃいですねー、こっちは毎日オヤジの相手してるでしゅよー」
「呂律も回ってないし…」
そう言っていると、しばらくして彼女は眠ってしまった。邪な考えがなかった訳ではないものの、この状態からして送るとなれば家に送らなければならない。そう考えると、急にとてもめんどくさくなった。とはいえ自分が誘った手前、送らなければならないだろう。俺は彼女に住んでいるところを聞くと、呂律が回っていないながらなんとか、ここからそう遠く無いところだとわかった。俺は勘定をすませ、彼女をおぶろうとすると彼女はあの赤いピアスをしていた。俺は危ないと思いそっと外すとポケットにいれ、彼女をおぶってタクシーに乗せると彼女の家まで送り届けた。そして、俺は自分の家につき来ていたものを脱ごうとして、ポケットにピアスを入れっぱなしにしていたことに気付き
「母親から貰ったものなんだよな」
と思い、明日渡そうとポケットにしまい直した。
次の日彼女は仕事に来なかった。